Scene 32 · Notes

解説 場面 32「客を迎えて」

この場面の解説

悪い知らせもないと聞き、夫人は二人を家へ招き入れる。紹介されたワトソンは、もてなしへの気遣いは不要で、役に立てればうれしいと答える。

表現・文法のポイント

anything that may be wanting
何か足りない点があれば、という意味。wantingはここでは誰かが欲しがっていることではなく、不足している状態を示す。突然の出来事で家の支度が十分でないかもしれないと、夫人が客に断っている。
an old campaigner
文字どおりには長く野戦を経験した人。ワトソンは軍務の経験を踏まえ、不自由な滞在にも慣れていると伝える。夫人にぜいたくな準備を求めず、謝る必要はないと安心させるための言い方である。

全文の対訳

"No bad?"

「悪い知らせも」

"No."

「ええ」

"Thank God for that. But come in. You must be weary, for you have had a long day."

「それはありがたいことです。でも、どうぞ中へ。長い一日でしたから、さぞお疲れでしょう」

"This is my friend, Dr. Watson. He has been of most vital use to me in several of my cases, and a lucky chance has made it possible for me to bring him out and associate him with this investigation."

「友人のワトソン医師です。いくつもの事件で非常に力になってくれました。幸運な偶然で連れてこられることになり、この捜査に協力してもらえるのです」

"I am delighted to see you," said she, pressing my hand warmly. "You will, I am sure, forgive anything that may be wanting in our arrangements, when you consider the blow which has come so suddenly upon us."

「お会いできてうれしいです」と夫人は私の手を温かく握った。「こんなに突然の衝撃を受けたところですので、おもてなしに行き届かない点があっても、どうかお許しください」

"My dear madam," said I, "I am an old campaigner, and if I were not I can very well see that no apology is needed. If I can be of any assistance, either to you or to my friend here, I shall be indeed happy."

「どうかお気遣いなく」と私は言った。「私は野営暮らしに慣れていますし、そうでなくても、おわびなど不要なことはよく分かります。奥様にでも、こちらの友人にでも、何かお役に立てれば実にうれしく思います」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • investigation(インヴェスティゲイション)… 調査・捜査
  • arrangements(アレインジメンツ)… 手はず・準備(複数)
  • campaigner(キャンペイナー)… 野戦に慣れた人・運動家
  • assistance(アスィスタンス)… 助け・手助け
  • associate(アソウスィエイト)… かかわる・結びつける・連想する
  • pressing(プレッスィング)… 握ること・押すこと・差し迫った・急を要する
  • forgive(フォギヴ)… 許す
  • wanting(ウォンティング)… 欠けている

次の場面:夫人の問い A Direct Question

ワトソンはホームズの友人であり、今回の捜査に協力する同行者として夫人に紹介される。夫人は突然の出来事で十分なもてなしができないと述べるが、ワトソンは気遣いは要らないと答える。二人を家へ迎えた夫人は、改めて捜査について確かめたいことがある。