Scene 36 · Notes

解説 場面 36「文字をたどる」

この場面の解説

宛名のインクの濃さが違うことから、ホームズは名前と住所が続けて書かれていないと説明する。夫人は同封の指輪と夫の筆跡について答える。

表現・文法のポイント

If it had been written straight off
もし中断せず一度に書かれていたなら、という過去の仮定。続くwould beは、今見えるインクの濃さについて、どの部分も濃い黒にはなっていないはずだと述べている。過去の書き方を仮定し、現在の状態を説明する形。straight offはまっすぐな線で書くことではなく、続けて行うこと。
One of his hands
handを筆跡の意味で使っている。夫人は夫が書く文字に普段と急いだときの違いがあると答える。左右の手のどちらで書いたかという意味ではなく、直後の説明と合わせて理解する。

全文の対訳

"The name, you see, is in perfectly black ink, which has dried itself. The rest is of the greyish colour, which shows that blotting-paper has been used. If it had been written straight off, and then blotted, none would be of a deep black shade. This man has written the name, and there has then been a pause before he wrote the address, which can only mean that he was not familiar with it. It is, of course, a trifle, but there is nothing so important as trifles. Let us now see the letter. Ha! there has been an enclosure here!"

「お名前の部分は真っ黒なインクで、自然に乾いています。残りは灰色がかっていて、吸い取り紙を使ったことが分かります。続けて全部書いてから吸い取ったなら、どこにも深い黒は残らなかったでしょう。この人は名前を書き、それから一度間を置いて住所を書いた。それは住所をよく知らなかったということにほかなりません。もちろん些細なことですが、些細なことほど大切なものはありません。さて、手紙を見ましょう。おや、ここには同封物がありましたね」

"Yes, there was a ring. His signet-ring."

「ええ、指輪が。主人の印章指輪です」

"And you are sure that this is your husband's hand?"

「そして、これがご主人の筆跡なのは確かですか」

"One of his hands."

「主人の筆跡の一つです」

"One?"

「一つですって」

"His hand when he wrote hurriedly. It is very unlike his usual writing, and yet I know it well."

「急いで書くときの字です。普段の字とはずいぶん違いますが、私にはよく分かるのです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • blotting-paper(ブロッティングペイパー)… 吸い取り紙難
  • enclosure(エンクロウジャー)… 同封物・囲い地・囲まれた場所難
  • signet-ring(スィグネットリング)… 印章指輪
  • hurriedly(ハリッドリー)… 大急ぎで・あわてて
  • familiar(ファミリアー)… よく知られた・聞き覚えのある・親しい
  • greyish(グレイイッシュ)… 灰色がかった
  • blotted(ブロッティッド)… 吸い取り紙で吸い取った・染みをつけた
  • trifles(トライフルズ)… ささいな事柄・取るに足らないこと

次の場面:手紙の言葉 The Enclosed Message

宛名の書き方を調べたホームズは、手紙と一緒に入っていた品についても尋ねる。夫人は夫の指輪だったと答え、急いで書いた筆跡にも覚えがあるという。封筒と中の紙を書いた手は同じではないらしい。次は、そこに何が記されているのかを確かめる番である。