Scene 44 · Notes

解説 場面 44「早朝の誘い」

この場面の解説

ホームズは早朝の馬車での外出にワトソンを誘う。何か考えを確かめたいと話し、自分の見落としを強く責めながら、事件の鍵をつかんだと言う。

表現・文法のポイント

Game for a morning drive?
game forは、〜をする気がある、喜んで応じるというくだけた表現。競技としてのgameではない。ここでは目覚めたワトソンに、朝の馬車での外出へ付き合えるかとホームズが尋ねている。
I deserve to be kicked
蹴られても当然だという、ホームズの強い自己批判。実際に誰かへ暴力を求める場面ではない。自分を大ばか者と呼ぶ直前の言葉と合わせ、それまでの見落としに気づいたことを示す言い方である。

全文の対訳

"Awake, Watson?" he asked.

「起きたかい、ワトソン」と彼は尋ねた。

"Yes."

「ああ」

"Game for a morning drive?"

「朝の馬車での外出に付き合うかい」

"Certainly."

「もちろん」

"Then dress. No one is stirring yet, but I know where the stable-boy sleeps, and we shall soon have the trap out." He chuckled to himself as he spoke, his eyes twinkled, and he seemed a different man to the sombre thinker of the previous night.

「では、着替えてくれ。まだ誰も起きていないが、厩番の寝場所は知っている。すぐに馬車を出せるだろう」彼は話しながら一人でくすくす笑い、目を輝かせ、昨夜の沈んだ考え人とは別人のようだった。

As I dressed I glanced at my watch. It was no wonder that no one was stirring. It was twenty-five minutes past four. I had hardly finished when Holmes returned with the news that the boy was putting in the horse.

着替えながら時計を見た。誰も起きていないのも当然だった。四時二十五分だった。着替え終えるか終えないかのうちに、ホームズが戻り、少年が馬をつないでいると知らせた。

"I want to test a little theory of mine," said he, pulling on his boots. "I think, Watson, that you are now standing in the presence of one of the most absolute fools in Europe. I deserve to be kicked from here to Charing Cross. But I think I have the key of the affair now."

「ちょっと自分の考えを試したいんだ」と、ブーツを履きながら言った。「ワトソン、きみは今、ヨーロッパでも指折りの大ばか者を目の前にしていると思うよ。ここからチャリング・クロスまで蹴飛ばされても文句は言えない。だが今度こそ、事件の鍵をつかんだと思う」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • sombre(ソンバー)… 陰鬱な・暗い(イギリス式の綴り)難
  • stable-boy(ステイブルボイ)… 厩番の少年
  • stirring(スターリング)… 起き出している・動き始める
  • chuckled(チャクルド)… くすくす笑った(chuckle の過去形)
  • twinkled(トゥウィンクルド)… きらめいた・またたいた(twinkle の過去形)
  • previous(プリーヴィアス)… 以前の・前の
  • presence(プレズンス)… (そこに)あること・存在・出席
  • absolute(アブソルート)… 完全な・絶対的な

次の場面:朝の馬車 A Morning Drive

ホームズは早朝の外出を提案し、馬車の用意を進めている。まだ四時半にもならず、屋敷の人々はほとんど起きていない。何か考えを確かめたいらしいが、ワトソンには詳しい説明がない。支度をしながら、ワトソンは友人の言う事件の糸口について尋ねようとしている。