Scene 51 · Notes

解説 場面 51「男の言い分」

この場面の解説

セントクレア氏は罪がないのに拘束されたと訴え、警部は驚きを口にする。ホームズは妻を信じるべきだったと話すが、氏は子供のことを恐れていたという。

表現・文法のポイント

takes the cake
ほかをしのぐ、これほどのものはないという慣用表現。警部は二十七年の勤務でも例がないと驚いている。菓子を取るという動作ではなく、直前までの出来事の異例さを強調する言い方である。
You would have done better
過去に別の行動を取った方がよかった、と振り返る表現。ホームズは妻を信頼するべきだったと述べる。今後の行動の結果を予報するのではなく、隠し続けた選択に対して話しかけている。

全文の対訳

The prisoner turned with the reckless air of a man who abandons himself to his destiny. "Be it so," said he. "And pray what am I charged with?"

囚人は、運命に身を任せる者の投げやりな様子で向き直った。「そういうことなら」と言った。「それで、私は何の罪をかけられているのでしょう」

"With making away with Mr. Neville St.— Oh, come, you can't be charged with that unless they make a case of attempted suicide of it," said the inspector with a grin. "Well, I have been twenty-seven years in the force, but this really takes the cake."

「ネヴィル・セント氏を殺した……いや、あなたにその罪はかけられませんね。自殺未遂とでもいうことにしない限りは」と警部はにやりとした。「警察で二十七年やっていますが、こんなのは初めてですよ」

"If I am Mr. Neville St. Clair, then it is obvious that no crime has been committed, and that, therefore, I am illegally detained."

「私がネヴィル・セントクレアなら、犯罪は起きておらず、したがって私は不法に拘束されていることになります」

"No crime, but a very great error has been committed," said Holmes. "You would have done better to have trusted your wife."

「犯罪ではないが、大きな間違いは起きた」とホームズは言った。「奥さんを信頼した方がよかったのです」

"It was not the wife; it was the children," groaned the prisoner. "God help me, I would not have them ashamed of their father. My God! What an exposure! What can I do?"

「妻ではなく、子供たちのことだったのです」と囚人はうめいた。「どうか、父親を恥じるようにはさせたくなかった。ああ、なんということだ。こんなふうに知られてしまうとは。どうすればよいのでしょう」

Sherlock Holmes sat down beside him on the couch and patted him kindly on the shoulder.

シャーロック・ホームズは寝椅子で男の隣に腰を下ろし、優しく肩をたたいた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • exposure(イクスポウジャー)… 世間に知れること・暴露・さらされること難
  • twenty-seven(トゥウェンティーセヴン)… 二十七の
  • attempted(アテンプティッド)… 試みた・〜しようとした
  • inspector(インスペクター)… 警察の捜査官・警部・警部・検査官
  • committed(コミッティッド)… (過ちを)犯した(commit の過去分詞)・献身的な
  • therefore(ゼアフォー)… それゆえ・したがって
  • illegally(イリーガリー)… 不法に・違法に
  • prisoner(プリズナー)… 逮捕される身・身柄を拘束された人・捕らわれた人・囚人

次の場面:話すための席 A Chance to Explain

セントクレア氏は、自分がここにいる以上、失踪の件で拘束される理由はないと訴える。ホームズは妻に打ち明けるべきだったと話すが、氏は子供たちのことを気にしている。警部とワトソンもその言葉を聞いている。ホームズは隣に座り、さらに話しかけようとしている。