Scene 55 · Notes

解説 場面 55「重なった日々」

この場面の解説

氏は自分の技術と切り返しのうまさで収入を増やしたと説明する。田舎に家庭を持っても、妻は夫がシティで何をしているか知らなかった。

表現・文法のポイント

less than my average takings
takingsは売上や得た金額。年七百ポンドは自分の平均より少ないと、氏自身が説明している。誰でも同じだけ稼げるとは言っておらず、化粧と機知が特別な条件だったと続けるため、一般的な収入の事実に広げない。
She little knew what
littleが知っている程度の少なさを示し、妻はその中身をほとんど知らなかったという意味。whatは前のbusinessの具体的な内容を受ける。妻が少しずつ理解を進めていたという肯定的な意味ではない。

全文の対訳

"Well, very soon I found that I was saving considerable sums of money. I do not mean that any beggar in the streets of London could earn £ 700 a year—which is less than my average takings—but I had exceptional advantages in my power of making up, and also in a facility of repartee, which improved by practice and made me quite a recognised character in the City. All day a stream of pennies, varied by silver, poured in upon me, and it was a very bad day in which I failed to take £ 2.

「やがて、かなりの金がたまるようになりました。ロンドンの物乞いなら誰でも年七百ポンド稼げると言うのではありません。私の平均収入はそれ以上でしたが、私には化粧の技術という特別な強みと、練習で上達した切り返しのうまさがあり、シティではすっかり知られた存在になっていたのです。一日中、一ペニー銅貨が、ときには銀貨も交じって流れ込み、二ポンドに届かなければひどく悪い日でした。

"As I grew richer I grew more ambitious, took a house in the country, and eventually married, without anyone having a suspicion as to my real occupation. My dear wife knew that I had business in the City. She little knew what.

「金が増えるにつれて望みも大きくなり、田舎に家を構え、やがて結婚しました。誰も本当の職業を疑いませんでした。大切な妻は、私にシティでの用事があることは知っていました。その中身までは、少しも知りませんでした。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • considerable(コンスィダラブル)… かなりの・相当な
  • exceptional(イクセプショナル)… 並外れた・例外的な
  • advantages(アドヴァーンティッジズ)… 利点・強み(複数)
  • recognised(レコグナイズド)… 見破られた・誰だか分かった・知られている・認められた・~だと分かった・見覚えがあった(recognise の過去形、イギリス式綴り)
  • eventually(イヴェンチュアリー)… ついには・結局
  • occupation(オキュペイション)… 職業・していること・従事していること
  • character(キャラクター)… 特徴のある人物・人・性格・人格・登場人物・文字・評判・信用・名誉
  • ambitious(アンビシャス)… 望みの大きい・野心的な

次の場面:あの日の部屋 The Room on Monday

氏は街で収入を得ながら田舎に家を構え、結婚して家庭を持った。妻は夫にロンドンでの用事があることだけを知り、その中身を聞いていなかったという。日々の暮らしについての説明はここまでである。次に語られるのは、夫人が横丁を歩いていた月曜日の出来事だ。