Scene 57 · Notes

解説 場面 57「届くまでの時間」

この場面の解説

氏は汚れた顔のままでいた理由と、店主へ手紙を託した経緯を話す。投函の遅れについて警部が説明し、物乞いへの罰金も本人には大きな痛手でなかったと分かる。

表現・文法のポイント

what was a fine to me?
自分にとって罰金など大したことはなかった、という修辞的な問い。fineは天気がよいという形容詞ではなく金銭の制裁を表す。物乞いで何度も訴追されたかという質問への返事で、払った具体額は書かれていない。
might find it difficult
そうするのが難しかったかもしれないという推量。警部は店主を見張っていたため、見つからず手紙を投函しにくかったのだろうと説明する。誰がいつ投函したかを、その場で目撃した証言とは区別する。

全文の対訳

"I do not know that there is anything else for me to explain. I was determined to preserve my disguise as long as possible, and hence my preference for a dirty face. Knowing that my wife would be terribly anxious, I slipped off my ring and confided it to the Lascar at a moment when no constable was watching me, together with a hurried scrawl, telling her that she had no cause to fear."

「ほかに説明することがあるか、分かりません。できるだけ長く変装を保つつもりだったので、顔を汚したままでいたかったのです。妻がひどく心配すると分かっていたので、警官が見ていない一瞬に指輪を外し、安心するよう急いで書いた手紙と一緒に店主へ託しました」

"That note only reached her yesterday," said Holmes.

「その手紙は、昨日ようやく届いたのです」とホームズは言った。

"Good God! What a week she must have spent!"

「なんということだ。妻はどんな一週間を過ごしたことでしょう」

"The police have watched this Lascar," said Inspector Bradstreet, "and I can quite understand that he might find it difficult to post a letter unobserved. Probably he handed it to some sailor customer of his, who forgot all about it for some days."

「警察はあの店主を見張っていました」とブラッドストリート警部が言った。「人に見られずに投函するのは難しかったでしょうね。たぶん船乗りの客に頼み、その客が何日か忘れていたのでしょう」

"That was it," said Holmes, nodding approvingly; "I have no doubt of it. But have you never been prosecuted for begging?"

「そうでしょう」とホームズは満足そうにうなずいた。「間違いないと思います。でも、物乞いで訴えられたことはないのですか」

"Many times; but what was a fine to me?"

「何度もあります。でも、私にとって罰金など何ほどのものだったでしょう」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • confided(コンファイディッド)… 託した・信用して預けた・打ち明けた難
  • approvingly(アプルーヴィングリー)… 賛同して・満足そうに
  • determined(ディターミンド)… 断固とした・きっぱりした・決心している・断固とした
  • preference(プレファランス)… 好むこと・選好
  • unobserved(アンアブザーヴド)… 人に見られずに・気づかれない
  • prosecuted(プロスィキューティッド)… 訴追された・起訴した
  • constable(カンスタブル)… 警官
  • inspector(インスペクター)… 警察の捜査官・警部・警部・検査官

次の場面:朝の区切り Before Breakfast

夫人に届いた手紙についても、書いた本人と警察の側から説明が加わる。到着までに日数を要した事情を考え、ホームズはうなずく。ここまでの話は警部もその場で聞いている。事件の経緯が見えてきたところで、今後の扱いについて話し合う必要がある。