Scene 18 · Notes

解説 場面 18「代わりのガチョウ」

この場面の解説

ピーターソンにどの新聞かと問われ、ホームズは夕刊の名を次々に挙げる。石は自分が預かると言い、帰りにガチョウを一羽買ってくるよう頼む。ピーターソンの家族が食べているガチョウの代わりに、持ち主へ渡すためだ。

表現・文法のポイント

any others that occur to you
occur to 〜 は「(考えが)〜の心に浮かぶ」。人ではなく考えや物が主語になる点に注意。any others that occur to you で「ほかに思いつく新聞なら何でも」となる。
I say
I say は呼びかけや話を切り出すときの英国の古い口語で、「ねえ」「そうだ」くらいの意味。ここでは、用件をもうひとつ思いついて付け足す合図になっている。ピーターソンを呼び止めるような響きもある。
in place of the one which your family is now devouring
in place of 〜 は「〜の代わりに」で、instead of とほぼ同じ。devour は「むさぼり食う」。is now devouring と進行形にして、いままさに平らげている最中だろう、とおどけている。

背景・時代

ロンドンの新聞(newspapers)
ホームズが挙げるグローブ、スター、ポール・モール、セント・ジェイムズ・ガゼット、イヴニング・ニューズ、スタンダード、エコーは、いずれも当時のロンドンで出ていた新聞の名だ。

全文の対訳

"In which, sir?"

「どの新聞にです、旦那?」

"Oh, in the Globe, Star, Pall Mall, St. James's Gazette, Evening News, Standard, Echo, and any others that occur to you."

「ああ、グローブ紙、スター紙、ポール・モール紙、セント・ジェイムズ・ガゼット紙、イヴニング・ニューズ紙、スタンダード紙、エコー紙、それにほかに思いつくものなら何でもいい」

"Very well, sir. And this stone?"

「かしこまりました、旦那。それで、この石は?」

"Ah, yes, I shall keep the stone. Thank you. And, I say, Peterson, just buy a goose on your way back and leave it here with me, for we must have one to give to this gentleman in place of the one which your family is now devouring."

「ああ、そうだ、石は私が預かっておく。ありがとう。それから、そうだ、ピーターソン、帰りにガチョウを一羽買ってきて、ここに置いていってくれたまえ。きみの家族がいま平らげている一羽の代わりに、この紳士に渡すものが要るのでね」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • gazette(ガゼット)… ガゼット(新聞の名に使う語)・新聞・官報難
  • devouring(ディヴァウアリング)… むさぼるような・激しい・むさぼり食う難
  • standard(スタンダード)… スタンダード紙(新聞の名)・基準・標準
  • globe(グロウブ)… グローブ紙(新聞の名)・地球・球
  • occur(オカー)… 起こる・生じる・(occur to で)〜の心に浮かぶ
  • goose(グース)… ガン・ガチョウ(wild goose で野ガン)
  • echo(エコウ)… エコー紙(新聞の名)・こだま・反響

次の場面:石の来歴 The History of a Stone

ピーターソンは広告文を手に、新聞に載せてもらうため出ていく。帰りにはガチョウを一羽買ってくる約束だ。部屋に残ったホームズは、自分が預かることにした青いガーネットを取り上げ、明かりにかざしてじっと眺める。ワトソンはそのそばで耳を傾ける。