Scene 48 · Notes

解説 場面 48「姉とのやりとり」

この場面の解説

姉のマギーは、弟のためにいちばん大きな白いガチョウを「ジェムの鳥」として取っておいたと言う。だがライダーは、さっき手に取っていた尾に縞のある白い鳥のほうがいいと言い張る。少しむっとしながらも姉は承知し、その場でしめて持っていくよう言う。

表現・文法のポイント

we've set yours aside for you
set 〜 aside は「〜をわきへ取っておく、別にしておく」。yours は「あんたの分(の鳥)」。姉が前もって弟の分を確保していたことが分かる。
over yonder
yonder は「向こうに、あそこに」という古風な語で、田舎言葉や詩に残っている。over yonder で「向こうのあそこに」。姉の素朴な話しぶりが出ている。
if it is all the same to you
if it is all the same to you は「あなたにとってどちらでも同じなら、差し支えなければ」。相手の申し出をやんわり断り、自分の希望を通すときの丁寧な前置きだ。
a good three pound heavier
この a good は「たっぷり、優に」で、数量を強める。three pound heavier は「3 ポンド重い」。数詞のあとでも複数形 pounds にしない、くだけた言い方になっている。

背景・時代

ポンド(pound)
ここでのポンドはお金ではなく重さの単位で、1 ポンドは約 450 グラム。3 ポンドならおよそ 1.4 キロで、姉が弟のために太らせた鳥はかなり大きかったことになる。

全文の対訳

"'Oh,' says she, 'we've set yours aside for you—Jem's bird, we call it. It's the big white one over yonder. There's twenty-six of them, which makes one for you, and one for us, and two dozen for the market.'

「『あら』と姉は言いました。『あんたの分ならもう別にしてあるわよ。うちではジェムの鳥って呼んでるの。ほら、向こうにいる大きな白いのよ。全部で二十六羽だから、あんたに一羽、うちに一羽、残りの二ダースを市場に出すの』

"'Thank you, Maggie,' says I; 'but if it is all the same to you, I'd rather have that one I was handling just now.'

「『ありがとう、マギー』と私は言いました。『でも、どっちでもかまわないなら、さっき抱えていたあいつのほうがいいんだ』

"'The other is a good three pound heavier,' said she, 'and we fattened it expressly for you.'

「『もう一羽のほうが、たっぷり三ポンドは重いのよ』と姉は言いました。『あんたのためにわざわざ太らせたんだから』

"'Never mind. I'll have the other, and I'll take it now,' said I.

「『かまわないよ。そっちをもらって、今すぐ持っていくよ』と私は言いました。

"'Oh, just as you like,' said she, a little huffed. 'Which is it you want, then?'

「『あら、好きにすればいいわ』と、姉は少しむっとして言いました。『それで、どれがいいのよ?』

"'That white one with the barred tail, right in the middle of the flock.'

「『あの尾に縞のある白いのだよ。群れのちょうど真ん中にいるやつさ』

"'Oh, very well. Kill it and take it with you.'

「『あら、そう。じゃあ、しめて持っていきなさいよ』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • yonder(ヨンダー)… 向こうに・あそこに(古風)難
  • fattened(ファットゥンド)… 太らせた(fatten の過去形・過去分詞)難
  • expressly(イクスプレスリー)… わざわざ・特に(〜のために)・はっきりと難
  • huffed(ハフト)… むっとした・腹を立てた難
  • barred(バード)… 格子でふさがれた・閉ざされた・縞模様のある(barred tail で「縞のある尾」)難
  • handling(ハンドリング)… (手で)扱っている・触っている・取り扱い
  • rather(ラーザー)… (言い直して)むしろ・いや・かなり
  • aside(アサイド)… わきへ・別にして

次の場面:キルバーンで At Kilburn

姉はしぶしぶ承知し、小男は自分で選んだ鳥をその場でしめてもらう。鳥を抱えた彼は、凍える夜道をキルバーンの古い知り合いのもとへ急ぐ。暖炉の前で語る小男の声は震えている。話はいよいよ、核心へと近づいていく。