第 3 章(III)ガチョウをたどるThe Adventure of the Blue Carbuncle

夕方、広告を見たヘンリー・ベイカーがベイカー街に現れる。帽子を受け取った彼の話から、ガチョウの出どころをたどる道が開ける。ホームズとワトソンは凍てつく夜のロンドンへ出て、酒場からコヴェント・ガーデンの市場へと、ガチョウの足取りを追いかける。

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  1. 21夕暮れの客 An Evening Callerワトソンは往診を終え、約束どおり、ふたたびベイカー街へ向かう。広告に書いた六時半はもう過ぎている。ホームズは、帽子の持ち主が広告を見て現れるのを待っているはずだ。凍える冬の晩、221B の家に近づくと、玄関の明かりの下で誰かを待つ男の姿が見えてくる。
  2. 22ヘンリー・ベイカー Mr. Henry Baker広告を見てやって来た男が、ベイカー街の居間に通される。ホームズは男をヘンリー・ベイカーと呼んで暖炉のそばに座らせ、男は差し出された古い帽子を自分のものだと認める。ワトソンは、明かりの下で、この客の姿をあらためてよく眺める。
  3. 23ガチョウの行方 The Fate of the Gooseベイカー街の部屋を訪ねてきたヘンリー・ベイカーは、新聞広告を出さなかったのは金に余裕がないからだと打ち明ける。ホームズは、落とし物のガチョウはやむを得ず食べてしまったと告げる。驚いて腰を浮かせる客に、ホームズは代わりのガチョウを差し出す。
  4. 24ガチョウの出どころ Where the Goose Came Fromガチョウの代わりを受け取って満足したヘンリー・ベイカーは、帽子と鳥を手に帰り支度をする。ホームズは帰りぎわの客を引き止め、失われたほうのガチョウをどこで手に入れたのかと、何気ない調子で尋ねる。家禽に目が利く者として気になる、というのがその口実だ。
  5. 25凍てつく夜の街へ Out into the Frostヘンリー・ベイカーは代わりのガチョウを抱え、もったいぶった一礼を残して帰っていった。ベイカーが口にしたのは、大英博物館の近くのアルファ亭と、そこで開かれていたガチョウ積立会のことだ。扉が閉まると、ホームズはワトソンのほうへ向き直る。
  6. 26アルファ亭 The Alpha Inn霜の降りた夜道を歩いて、ホームズとワトソンはブルームズベリーの小さな酒場、アルファ亭に着く。ホームズは赤ら顔の主人にビールを二杯注文すると、さりげなくガチョウの話を切り出す。ヘンリー・ベイカーたちのガチョウ積立会を開いたのは、この店の主人である。
  7. 27コヴェント・ガーデンへ To Covent Gardenアルファ亭の主人によれば、積立会のガチョウは自分の店で育てたものではなく、コヴェント・ガーデンの商人から二ダース仕入れたものだという。ホームズはその商人の名を聞き出そうとする。手がかりの鎖は、ベイカー街からさらに先へと延びていく。
  8. 28売り切れの店 Sold Outアルファ亭の主人から聞き出した名は、コヴェント・ガーデンの商人ブレッキンリッジである。ホームズとワトソンは霜の降りた夜の街を南へ急ぎ、ホウボーンを横切って、入り組んだ裏通りを抜けていく。目指すのは、夜の市場に並ぶ店の一つだ。
  9. 29問いただす Who Sold Them?コヴェント・ガーデン市場で、ホームズは店じまい中のブレッキンリッジに話しかける。ガチョウは売り切れだが、明日の朝なら五百羽でも用意できると商人は言う。この店を勧められて来たと言うホームズに、商人は誰に勧められたのかと問い返す。
  10. 30ホームズの賭け A Bet on a Birdコヴェント・ガーデン市場で、ホームズとワトソンはアルファ亭にガチョウを卸した商人ブレッキンリッジを突き止める。だが仕入れ先を尋ねたとたん、商人は腹を立てて教えるものかと突っぱねる。そんなささいなことでむきになるなとホームズに言われ、商人はさらに声を荒らげる。
  11. 31帳簿を持ってこい Bring Me the Books仕入れ先を聞かれてうんざりしている商人に、ホームズは、自分が食べた鳥は田舎育ちだと 5 ポンド賭けているのだと持ちかける。商人は町育ちだと言い張って一歩も引かない。そんなはずはない、信じない、と言い合ううちに、二人はいよいよ引っ込みがつかなくなっていく。
  12. 32仕入れ先の帳面 The List of Suppliersアルファ亭の鳥が田舎育ちか町育ちかをめぐって、ホームズと商人は 1 ポンド金貨を賭けることになる。商人は勝ちを確信して凄みのある笑いを浮かべ、小僧のビルに帳簿を持ってこさせる。ランプの下に、薄い小型の帳面と、背の脂じみた大きな台帳が並べられる。
  13. 33台帳の記録 The Ledger商人は小さな帳面を開き、これは仕入れ先の一覧で、名前のあとの数字が大きな台帳のページを示すのだと説明する。赤インクで書かれたページは町の仕入れ先だ。勝ちを確信した商人は、その 3 番目の名前を声に出して読んでみろとホームズに迫る。ホームズは帳面に目を落とす。
  14. 34賭けの結末 Settling the Bet商人の台帳には、ブリクストン・ロード 117 番地のオークショット夫人から 12 月 22 日にガチョウ 24 羽を仕入れ、アルファ亭のウィンディゲイト氏に売ったと記されている。アルファ亭の鳥は町育ちだという商人の言い分が、帳面の上で裏づけられた形だ。賭けはホームズの負けである。
  15. 35屋台の騒ぎ A Row at the Stall賭けに負けたふりをして屋台を離れたホームズは、街灯の下で声を立てずに笑う。賭けを持ちかけたからこそ、商人から仕入れ先を聞き出せたのだ。残るは、オークショット夫人を今夜訪ねるか明日にするか。ほかにもこの件を気にしている者がいるようだと言いかけたところで、話がさえぎられる。