Scene 03 · Notes

解説 場面 3「列車の客室」

この場面の解説

ホームズは列車で新聞を調べたのち、事件を知っているかワトソンに尋ねる。記事から見る限り、単純に見えて非常に難しい種類の事件だという。

表現・文法のポイント

save for
saveはここでは救うという動詞ではなく、「〜を除いて」という前置詞の働きをする。客室は二人の貸し切りだったという文に、ホームズが持ち込んだ大量の新聞だけは別だ、とユーモラスな例外を添えている。
in order to master the particulars
in order toは目的を表す「〜するために」。masterは主人という名詞ではなく、詳しい事情を十分に把握するという動詞である。ホームズは最近の新聞を調べていた、その理由をワトソンに説明している。

全文の対訳

We had the carriage to ourselves save for an immense litter of papers which Holmes had brought with him. Among these he rummaged and read, with intervals of note-taking and of meditation, until we were past Reading. Then he suddenly rolled them all into a gigantic ball and tossed them up onto the rack.

ホームズが持ち込んだ大量の新聞が散らかっているのを除けば、客室は私たちの貸し切りだった。彼はその山をかき回しては読み、時折メモを取ったり考え込んだりして、レディングを過ぎるまでそうしていた。やがて突然、それらを全部大きな玉に丸め、上の荷物棚へ放り上げた。

"Have you heard anything of the case?" he asked.

「事件について何か聞いているかい」と彼は尋ねた。

"Not a word. I have not seen a paper for some days."

「一言も。ここ何日か、新聞を見ていないんだ」

"The London press has not had very full accounts. I have just been looking through all the recent papers in order to master the particulars. It seems, from what I gather, to be one of those simple cases which are so extremely difficult."

「ロンドンの新聞には、あまり詳しい報道が載っていない。細かな事情を把握するために、最近の新聞をすべて調べていたところだ。分かったことからすると、実に難しい、単純な事件というものの一つらしい」

"That sounds a little paradoxical."

「少し矛盾した話に聞こえるね」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • rummaged(ラミッジド)… かき回して探した(rummage の過去形)難
  • particulars(パティキュラーズ)… 詳細・詳しいこと難
  • paradoxical(パラドクスィカル)… 逆説的な・一見矛盾する難
  • note-taking(ノウトテイキング)… メモを取ること
  • meditation(メディテイション)… 黙考・深い思索・瞑想
  • intervals(インタヴァルズ)… 合間・間隔(複数)
  • carriage(キャリッジ)… 鉄道の客室・客車・鉄道の客車・馬車・馬車・(鉄道の)客車
  • gigantic(ジャイガンティック)… 巨体の・巨大な

次の場面:単純な事件 A Simple Case

単純であるのに難しいというホームズの言い方を、ワトソンは矛盾のように感じる。ホームズは事件の特徴と捜査の難しさについて説明を続ける。やがて話は、新聞が伝える具体的な嫌疑へ移っていく。まだ現場を見ていない探偵は、何を確かな事実として扱うのか。