Scene 16 · Notes

解説 場面 16「尋問の続き」

この場面の解説

検視官は、父が息子の帰宅を知る前に合図を送った理由を問うが、青年は分からないと答える。戻った際には左手の地面に灰色の物があった気がするものの、立ち上がると消えていたという。

表現・文法のポイント

before he even knew
evenは、見るより前だっただけでなく、帰宅を知るより前でもあったと強調する。検視官は、父が声を発した時点を二つの出来事と比べ、証人が説明した合図の使い方について、さらに確かめようとしている。
a vague impression
vagueは、はっきりしない、ぼんやりしたという意味。青年は確かな目撃として断言せず、動転していたときに残った記憶の程度を説明している。後に上着や肩掛けかもしれないと述べるのも、その不確かさの中である。

全文の対訳

"The Coroner: I understand that the cry of 'Cooee' was a common signal between you and your father?

検視官:『「クーイー」という呼び声は、あなたとお父さんの間で使う合図だったのですね。』

"Witness: It was.

証人:『そうです。』

"The Coroner: How was it, then, that he uttered it before he saw you, and before he even knew that you had returned from Bristol?

検視官:『それなら、お父さんがあなたを見る前に、しかもあなたがブリストルから戻ったことさえ知る前に、その声を上げたのはなぜですか。』

"Witness (with considerable confusion): I do not know.

証人(ひどく当惑して):『分かりません。』

"A Juryman: Did you see nothing which aroused your suspicions when you returned on hearing the cry and found your father fatally injured?

陪審員:『叫び声を聞いて戻り、お父さんが致命傷を負っているのを見たとき、疑いを抱かせるものは何も見ませんでしたか。』

"Witness: Nothing definite.

証人:『はっきりしたものは何も。』

"The Coroner: What do you mean?

検視官:『どういう意味ですか。』

"Witness: I was so disturbed and excited as I rushed out into the open, that I could think of nothing except of my father. Yet I have a vague impression that as I ran forward something lay upon the ground to the left of me. It seemed to me to be something grey in colour, a coat of some sort, or a plaid perhaps. When I rose from my father I looked round for it, but it was gone.

証人:『開けた場所へ駆け出たとき、私はあまりに動転して興奮し、父のこと以外は何も考えられませんでした。それでも、走って進んだとき、自分の左手の地面に何かがあったという、ぼんやりした印象は残っています。灰色の何かで、何かの上着か、ひょっとすると格子柄の肩掛けのように思えました。父のそばから立ち上がって、その辺りを探したときには、もうなくなっていました。』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • coroner(コロナー)… 検視官・検死官難
  • cooee(クーイー)… 遠くの相手を呼ぶ声・クーイー難
  • juryman(ジュアリーマン)… 陪審員難
  • plaid(プラッド)… 格子柄の肩掛け・格子柄難
  • considerable(コンスィダラブル)… かなりの・相当な
  • suspicions(サスピションズ)… 疑い・疑念
  • impression(インプレッション)… 足跡・押された跡・印象
  • confusion(コンフュージョン)… 当惑・混乱

次の場面:距離を確かめる Checking the Distances

証人への質問は、池のそばで目にしたものの位置と、その後の行動へ移る。遺体からどのくらい離れていたか、森の端まではどれほどか。青年が助けを求めるまでの間をたどるため、尋問する側は場所と距離を一つずつ言葉にして確かめていく。