Scene 46 · Notes

解説 場面 46「卓上の紙」

この場面の解説

ホームズはヴィクトリアの地図の文字を手で隠し、最期の言葉がバララットの末尾だったと説明する。父は自分を殺した人物を、その地名を添えて呼ぼうとしたのだという。

表現・文法のポイント

the last two syllables
syllableは音節という、発音上のまとまりを表す語。ホームズは、父の言葉全体ではなく、その末尾の二音節だけを息子が聞いたと説明する。地図上の文字を一部隠す動作が、その聞き取り方の違いを示している。
So and so, of Ballarat.
so and soは、名を具体的に言わず「誰それ」とする言い方。of Ballaratは、その人物がバララットに結び付くことを添える。父が口にしかけた呼び名の形を例示しており、ここで犯人の氏名を言ったわけではない。

全文の対訳

Sherlock Holmes took a folded paper from his pocket and flattened it out on the table. "This is a map of the Colony of Victoria," he said. "I wired to Bristol for it last night." He put his hand over part of the map. "What do you read?"

シャーロック・ホームズは、ポケットから折り畳んだ紙を取り出し、テーブルの上に平らに広げた。「これはヴィクトリア植民地の地図だ」と彼は言った。「昨夜、ブリストルへ電報を打って取り寄せたのだよ」彼は地図の一部を手で覆った。「何と読めるかね」

"ARAT," I read.

「アラット」と私は読んだ。

"And now?" He raised his hand.

「では、今度は」彼は手を上げた。

"BALLARAT."

「バララット」

"Quite so. That was the word the man uttered, and of which his son only caught the last two syllables. He was trying to utter the name of his murderer. So and so, of Ballarat."

「そのとおり。あの男が口にしたのはその言葉で、息子には最後の二音節しか聞き取れなかったのだ。父親は、自分を殺した男の名を言おうとしていたのだよ。バララットの、誰それというようにね」

"It is wonderful!" I exclaimed.

「すばらしい」と私は声を上げた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • syllables(スィラブルズ)… 音節(複数)難
  • flattened(フラットゥンド)… 平らに広げられた・平らにした(flatten の過去形・過去分詞)
  • exclaimed(イクスクレイムド)… 叫んだ・声を上げた
  • murderer(マーダラー)… 殺人犯
  • uttered(アタード)… 声に出した・言った
  • colony(コロニー)… 植民地
  • trying(トライイング)… (trying toで)〜しようとしている・骨の折れる・つらい
  • wired(ワイアド)… 電報で知らせた・電報で呼ばれた

次の場面:考えをたどる Following the Reasoning

ホームズの説明を受け、ワトソンは考えの筋道を一つずつ追っている。証言から分かることと、実際に地面を調べて分かること。それぞれは、どのようにつながるのか。ホームズはここで話を今日の調査へ戻し、観察の方法について友人と語り合う。