Scene 33 · Notes

解説 場面 33「板塀の向こう」

この場面の解説

ハンターは、台所口近くの離れに巨大なマスティフ犬カルロがいると話す。犬は老トラーしか扱えず、餌を絞られたまま毎晩放されるため、夜に外へ出れば命に関わると警告されていた。

表現・文法のポイント

as keen as mustard
mustardの刺激になぞらえた古い比喩で、犬が非常に鋭敏で気が立っている状態をいう。
as much as your life is worth
「命を懸けるほど危険」。夜に敷居を越えるなという警告の深刻さを強める。

全文の対訳

"You will find it rather disconnected, I fear, and there may prove to be little relation between the different incidents of which I speak. On the very first day that I was at the Copper Beeches, Mr. Rucastle took me to a small outhouse which stands near the kitchen door. As we approached it I heard the sharp rattling of a chain, and the sound as of a large animal moving about.

「まとまりのない話に聞こえるかもしれません。それに、これからお話しする出来事同士には、ほとんど関係がないと分かるかもしれません。ぶなの木屋敷へ着いた最初の日、ルーカッスルさんは台所口の近くに建つ小さな離れへ、私を連れていきました。そこへ近づくと、鎖が鋭く鳴る音と、大きな動物が動き回るような音が聞こえました。

"'Look in here!' said Mr. Rucastle, showing me a slit between two planks. 'Is he not a beauty?'

「『ここからのぞいてごらんなさい』とルーカッスルさんは言い、二枚の板の隙間を示しました。『見事なものでしょう?』

"I looked through and was conscious of two glowing eyes, and of a vague figure huddled up in the darkness.

「隙間から見ると、燃えるような二つの目と、暗闇にうずくまるぼんやりとした姿が見えました。

"'Don't be frightened,' said my employer, laughing at the start which I had given. 'It's only Carlo, my mastiff. I call him mine, but really old Toller, my groom, is the only man who can do anything with him. We feed him once a day, and not too much then, so that he is always as keen as mustard. Toller lets him loose every night, and God help the trespasser whom he lays his fangs upon. For goodness' sake don't you ever on any pretext set your foot over the threshold at night, for it's as much as your life is worth.'

「『怖がらなくてもよい』と、私が飛び上がったのを見て雇い主は笑いました。『カルロという、ただのマスティフ犬です。私の犬とは呼んでいますが、実際には馬丁の老トラーしか扱えません。一日に一度、それも多すぎない量しか餌を与えないので、いつもひどく気が立っています。トラーが毎晩放すのですが、あの牙にかかった侵入者は神に助けを求めるしかありません。頼みますから、どんな理由があっても夜は決して敷居の外へ足を出さないでください。命が懸かっていますから』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • slit(スリット)… すき間・細長い切れ目難
  • mastiff(マスティフ)… マスティフ犬難
  • fangs(ファングズ)… 牙・毒牙(複数)難
  • disconnected(ディスカネクティッド)… つながりのない・切り離された
  • approached(アプロウチト)… 近づいた・〜から行ける・道や場所に近づかれた・行き着かれた・近づいた(approach の過去・過去分詞)
  • frightened(フライトゥンド)… おびえた
  • trespasser(トレスパサー)… 侵入者
  • incidents(インスィデンツ)… 出来事・事件(複数)

次の場面:夜の庭 The Garden at Night

二晩後の深夜、ハンター嬢は寝室の窓から庭を見下ろす。月明かりの芝生を、大きな黒い影がゆっくり動いている。昼間に聞いた警告が冗談ではなかったと知り、彼女は夜の庭と、その見張り役に近づかないよう心に決める。