Scene 05 · Notes

解説 場面 5「失われた親指」

この場面の解説

ハザリー氏の親指は根元から失われていたが、彼は意識を取り戻したあと自分で止血していた。ワトソンが処置の見事さを褒めると、本人は水力学の知識の応用だと答える。

表現・文法のポイント

He unwound the handkerchief and held
unwound the handkerchief は「巻いていたハンカチをほどいた」で、診察のため患部を見せる動作を表す。
and came within my own province
within my own province は「自分の専門範囲内」で、province が比喩的に知識の領域を指している。

全文の対訳

He unwound the handkerchief and held out his hand. It gave even my hardened nerves a shudder to look at it. There were four protruding fingers and a horrid red, spongy surface where the thumb should have been. It had been hacked or torn right out from the roots.

彼はハンカチをほどき、手を差し出した。見慣れているはずの私の神経でさえ、それを見て震えた。突き出た四本の指があり、親指があるべき場所には恐ろしい赤い海綿状の面があった。親指は根元から切り落とされたか、引きちぎられていた。

"Good heavens!" I cried, "this is a terrible injury. It must have bled considerably."

「なんということだ!」私は叫んだ。「これはひどいけがです。相当出血したでしょう」

"Yes, it did. I fainted when it was done, and I think that I must have been senseless for a long time. When I came to I found that it was still bleeding, so I tied one end of my handkerchief very tightly round the wrist and braced it up with a twig."

「ええ、しました。そのとき気を失い、長いあいだ意識がなかったのだと思います。気づいたときにもまだ血が出ていたので、ハンカチの端を手首にきつく巻き、小枝を添えて締め上げました」

"Excellent! You should have been a surgeon."

「見事です!外科医になれましたね」

"It is a question of hydraulics, you see, and came within my own province."

「水力学の問題ですから、私の専門の範囲だったのです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • protruding(プロトルーディング)… 突き出している難
  • handkerchief(ハンカチーフ)… ハンカチ
  • considerably(コンスィダラブリー)… かなり・相当に
  • hydraulics(ハイドローリックス)… 水力学
  • senseless(センスレス)… 意識のない・無意味な
  • hardened(ハードンド)… はっきり固まった・(心を)鬼にした・固くした・硬化した
  • bleeding(ブリーディング)… 出血・血が出ていること
  • province(プロヴィンス)… 専門分野・地方

次の場面:傷の手当て Treating the Wound

ワトソンは傷の状態を確かめ、どのような道具で生じたのかを尋ねる。ハザリー氏は椅子に横たわったまま、医師の質問へ一つずつ答える。診察室の卓には洗浄の水、脱脂綿、包帯が用意され、ワトソンはまず必要な処置を進めようとする。