
一八八九年の夏、開業医となったワトソンの診察室へ、片手を布で固く巻いた若い水力技師が訪れる。夜の最終列車、高額な報酬、外の見えない馬車、古屋敷に隠された巨大な機械。手当てを終えたワトソンは、信じがたい一夜の体験を抱える依頼人をホームズのもとへ連れていく。
一八八九年の夏、結婚して診療所を開いていたワトソンのもとへ、早朝にパディントン駅の職員が若い患者を連れてくる。片手を布で固く巻いた水力技師ハザリー氏は、夜のあいだに経験した異様な出来事を抱えていた。手当てを終えたワトソンは、彼をベイカー街へ案内する。
朝食のあと、ハザリー氏は前日の夕方から語り始める。仕事の少ない若い技師の事務所へ、異様に痩せた男が現れた。男が提示したのは、高額な報酬と絶対の秘密を条件とする一夜の依頼である。不審に思いながらも引き受けた青年は、最終列車で小さな駅へ向かう。
アイフォード駅でスターク大佐と落ち合ったハザリー氏は、一頭立ての馬車へ乗り込む。車内の窓は曇りガラスで閉ざされ、外の景色は見えない。深夜の田舎道を長く揺られながら、青年は七マイル先にあるという依頼先と、そこで待つ機械のことを考えている。
ハザリー氏の話を聞き終えたホームズは、古い新聞広告を取り出す。数時間後、ホームズ、ワトソン、依頼人、ブラッドストリート警部らは列車でアイフォードへ向かっていた。地図に描いた円と昨夜の馬の様子を手掛かりに、見えなかった屋敷の場所と、そこで進んでいた仕事を追う。