第 1 章(I)早朝の診察The Adventure of the Engineer's Thumb

一八八九年の夏、結婚して診療所を開いていたワトソンのもとへ、早朝にパディントン駅の職員が若い患者を連れてくる。片手を布で固く巻いた水力技師ハザリー氏は、夜のあいだに経験した異様な出来事を抱えていた。手当てを終えたワトソンは、彼をベイカー街へ案内する。

解説の目次

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  1. 01二つの事件 Two Unusual Casesワトソンは、ホームズと親しく過ごした年月に持ち込まれた数々の事件を振り返る。その中でも、自分が直接紹介した二件は特に忘れがたい。一方は推理の妙に富み、もう一方は始まりから細部まで異様だった。彼は後者を記録に残そうと筆を取る。解説を読む ›
  2. 02早朝の患者 An Early Patient一八八九年の夏、結婚して診療所を開いていたワトソンは、早朝に女中の声で起こされる。パディントン駅から来た二人の男が診察室で待っているという。階段を急いで下りると、以前治療した駅員が扉を閉め、訳ありげに患者を託す。解説を読む ›
  3. 03包帯の青年 The Bandaged Visitor診察室の卓のそばには、落ち着いた服装の若い男が座っている。片手にはハンカチが固く巻かれ、その布には血の跡がにじんでいた。男は夜の事故について詫び、駅で医師を尋ねた経緯を話す。卓上には彼の名刺が残されている。解説を読む ›
  4. 04止まらない笑い A Sudden Laugh名刺には水力技師ヴィクター・ハザリーの名がある。ワトソンが長い夜の旅をねぎらうと、青年は単調ではなかったと言い、不意に激しく笑い始める。それは楽しさから出た笑いではない。医師は水とブランデーを差し出し、落ち着かせようとする。解説を読む ›
  5. 05失われた親指 The Missing Thumbようやく呼吸を整えたハザリー氏は、手当てを頼みたい箇所を言い直す。ワトソンは巻かれた布をほどき、医師として傷の状態を確かめる。青年は長く意識を失ったあと、自分で出血を抑えたという。二人の会話は傷が生じた経緯へ向かう。解説を読む ›
  6. 06傷の手当て Treating the Woundワトソンは傷の状態を確かめ、どのような道具で生じたのかを尋ねる。ハザリー氏は椅子に横たわったまま、医師の質問へ一つずつ答える。診察室の卓には洗浄の水、脱脂綿、包帯が用意され、ワトソンはまず必要な処置を進めようとする。解説を読む ›
  7. 07奇妙な事件 A Strange Case手当てを終えたハザリー氏は、警察に話しても信じてもらえないほど奇妙な体験だと打ち明ける。ワトソンは、解くべき問題ならホームズに相談するよう勧める。青年もその名を知っていた。二人は朝のうちにベイカー街を訪ねることを決める。解説を読む ›
  8. 08ベイカー街へ To Baker Streetハザリー氏は、話を終えるまで気持ちが休まらないという。ワトソンは辻馬車を呼ばせ、妻に事情を伝えて青年とベイカー街へ向かう。ホームズはガウン姿で新聞を読み、朝のパイプを楽しんでいた。到着した二人を迎え、朝食を勧める。解説を読む ›
  9. 09朝食のあと After Breakfast朝食を済ませると、ホームズはハザリー氏に楽な姿勢で話すよう促す。医師の手当てと食事で顔色を取り戻した青年は、最初から最後まで順に語ると約束する。ホームズとワトソンは向かい側に座り、奇妙な夜の体験へ耳を傾ける。解説を読む ›