Scene 05 · Notes

解説 場面 5「贈り主を考える」

この場面の解説

ホームズは贈り主を狩猟会でなく病院と考え、頭文字からチャリング・クロス病院を挙げる。その仮説を足場として、さらに推理を進めるようワトソンに促す。

表現・文法のポイント

by no means all
by no meansは「決して〜ではない」。ここではallを否定し、分かることはそれですべてではないと強める。ホームズが推理を続ける転換点になっている。
a working hypothesis
workingは労働中という意味ではなく、考察を進めるために暫定的に採用することを表す。病院という解釈は、この時点では確定した事実ではなく、推理の足場として扱われる。

全文の対訳

"But that was all."

「だが、それだけだったと」

"No, no, my dear Watson, not all—by no means all. I would suggest, for example, that a presentation to a doctor is more likely to come from a hospital than from a hunt, and that when the initials 'C.C.' are placed before that hospital the words 'Charing Cross' very naturally suggest themselves."

「いやいや、親愛なるワトソン、それだけではない。決してそれだけではない。例えば、医師への贈り物なら狩猟会より病院からの方がありそうだし、病院の前にC.C.という頭文字があれば、ごく自然にチャリング・クロスという言葉が浮かぶ、と私なら考える」

"You may be right."

「きみの言うとおりかもしれない」

"The probability lies in that direction. And if we take this as a working hypothesis we have a fresh basis from which to start our construction of this unknown visitor."

「その方が可能性は高い。そして、それを作業仮説とすれば、この未知の来客の人物像を組み立てる新しい足場が得られる」

"Well, then, supposing that 'C.C.H.' does stand for 'Charing Cross Hospital,' what further inferences may we draw?"

「では、C.C.H.がチャリング・クロス病院の略だとして、その先に何を推理できる?」

"Do none suggest themselves? You know my methods. Apply them!"

「何も思いつかないか。私のやり方は知っているだろう。使ってみたまえ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • c(エトセトラ)… アルファベットのC・(&c.で)その他・以下略難
  • hypothesis(ハイポサスィス)… 仮説難
  • h(エイチ)… アルファベットのH難
  • inferences(インファレンスィズ)… 推論・推理による結論・推論・推理(inference の複数形)難
  • presentation(プレズンテイション)… 贈呈・贈り物・発表
  • construction(コンストラクション)… 組み立て・構成・(文の)構造・建設
  • probability(プロバビリティー)… 見込み・確からしさ
  • themselves(ゼムセルヴズ)… 自分たち自身・彼ら自身

次の場面:贈り物の機会 An Occasion for a Gift

頭文字が病院を指すという仮定を置くと、町と田舎での仕事のつながりが問題になる。ワトソンは、持ち主が以前は町で働いていたのではないかと考える。ホームズはその見方を出発点に、どのような機会に杖が贈られたのかを問い直そうとする。