Scene 10 · Notes

解説 場面 10「階段の足音」

この場面の解説

ホームズが犬を言い当てたのは、窓から戸口の犬が見えたからだった。飼い主の来訪を知ると、ワトソンに同席を頼み、新たな客を迎える。

表現・文法のポイント

a professional brother of yours
ホームズが、来客はワトソンと同業の医師だと述べている。brotherは実の兄弟という意味ではなく、同じ職業に属する仲間を指す。
whether for good or ill
人生へ入ってくる人物が、よい結果をもたらすのか悪い結果をもたらすのか、という対比。illはここでは病気のことではない。

全文の対訳

He had risen and paced the room as he spoke. Now he halted in the recess of the window. There was such a ring of conviction in his voice that I glanced up in surprise.

彼は話しながら立ち上がり、部屋を歩き回っていた。今は窓の張り出したところで足を止めた。その声にはあまりにも確信に満ちた響きがあったので、私は驚いて顔を上げた。

"My dear fellow, how can you possibly be so sure of that?"

「おい、どうしてそこまで確信できるんだ」

"For the very simple reason that I see the dog himself on our very door-step, and there is the ring of its owner. Don't move, I beg you, Watson. He is a professional brother of yours, and your presence may be of assistance to me. Now is the dramatic moment of fate, Watson, when you hear a step upon the stair which is walking into your life, and you know not whether for good or ill. What does Dr. James Mortimer, the man of science, ask of Sherlock Holmes, the specialist in crime? Come in!"

「ごく簡単な理由で、その犬自体が、まさにうちの戸口の段にいるのが見えるからだ。そして今、飼い主が呼び鈴を鳴らした。頼むから、そのままでいてくれ、ワトソン。彼はきみの同業者だから、きみがいれば私の役に立つかもしれない。さあ、ワトソン、運命の劇的な瞬間だ。階段に足音が響き、それがきみの人生へ歩み込んでくる。それが吉と出るか凶と出るかは分からない。科学者ジェームズ・モーティマー医師は、犯罪の専門家シャーロック・ホームズに何を求めるのか。どうぞ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • conviction(コンヴィクション)… 確信・有罪判決難
  • professional(プロフェッショナル)… 職業上の・専門の・プロの
  • assistance(アスィスタンス)… 助け・手助け
  • specialist(スペシャリスト)… 専門家
  • door-step(ドーステップ)… 戸口の段
  • possibly(ポッスィブリー)… もしかすると・(否定文で)どうしても・とても(〜ない)・ことによると
  • presence(プレズンス)… 同席・その場にいること・存在・いるということ・(そこに)あること・存在・出席
  • dramatic(ドラマティック)… 劇的な

次の場面:再び来た客 The Visitor Returns

置き忘れた杖の持ち主が、ベイカー街の部屋へ入ってくる。ワトソンは自分が思い描いていた医師と、実際の訪問者とを比べようとしている。すでに二人の話題となっていた品も、ホームズの手元にある。まずは客を迎える会話から始まる。