Scene 100 · Notes

解説 場面 100「夕方の来客」

この場面の解説

返事の代わりに、馬車の御者本人が訪ねてくる。苦情を疑う御者へ、ホームズは報酬を示し、まず名前と住所を聞く。

表現・文法のポイント

to your face
面と向かって直接、という言い方。御者は自分にどんな不満があるのか、本人へ聞くために来たという。
in case I want you again
また用が生じた時のために、という備え。ホームズは連絡に使うため、御者の名前と住所を控える。

全文の対訳

The ring at the bell proved to be something even more satisfactory than an answer, however, for the door opened and a rough-looking fellow entered who was evidently the man himself.

だが、その呼び鈴がもたらしたのは、返事よりさらに満足なものだった。戸が開くと、いかにも御者本人らしい、粗野な風貌の男が入ってきたのだ。

"I got a message from the head office that a gent at this address had been inquiring for No. 2704," said he. "I've driven my cab this seven years and never a word of complaint. I came here straight from the Yard to ask you to your face what you had against me."

「こちらの紳士が二七〇四号を調べていると、本部から連絡をもらいましてね」と男は言った。「七年この馬車を走らせて、苦情の一つもありません。私にどんな文句があるのか、面と向かって聞こうと、ヤードからまっすぐ来たんです」

"I have nothing in the world against you, my good man," said Holmes. "On the contrary, I have half a sovereign for you if you will give me a clear answer to my questions."

「あなたに文句など一つもありませんよ」とホームズは言った。「むしろ、質問にはっきり答えてくだされば、半ソヴリン差し上げます」

"Well, I've had a good day and no mistake," said the cabman with a grin. "What was it you wanted to ask, sir?"

「いや、今日は本当に稼ぎのいい日だ」と御者はにやりとして言った。「何をお聞きになりたいんで?」

"First of all your name and address, in case I want you again."

「また用がある時のため、まず名前と住所を」

"John Clayton, 3 Turpey Street, the Borough. My cab is out of Shipley's Yard, near Waterloo Station."

「ジョン・クレイトン、バラ地区ターピー街三番地です。馬車は、ウォータールー駅近くのシプリーのヤードから出しています」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • sovereign(ソヴリン)… ソヴリン金貨(1ポンド)・君主・主権のある難
  • cabman(キャブマン)… (辻馬車の)御者・タクシー運転手難
  • rough-looking(ラフルッキング)… 粗野な風貌の
  • satisfactory(サティスファクトリー)… 納得のいく・十分な・満足な
  • evidently(エヴィデントリー)… 明らかに・見たところ
  • inquiring(インクワイアリング)… 尋ねている・調べること
  • complaint(カンプレイント)… 苦情
  • contrary(コントラリー)… 反対・逆。on the contrary で「それどころか」

次の場面:御者の記憶 The Cabman's Recollection

訪ねてきた男は、ホームズが番号を問い合わせた馬車の御者だと名乗っている。名前と住所を控えたあと、聞きたいのは朝の乗客についてである。どこで待ち、誰の後を追ったのか。ホームズは自分の観察と御者の記憶を照らそうとしている。