Scene 11 · Notes

解説 場面 11「再び来た客」

この場面の解説

訪ねてきたのは背が高く痩せ、金縁の眼鏡をかけた若い医師だった。杖を見つけて喜び、なくしたくなかったと話す彼に、ホームズは贈り物かと尋ねる。

表現・文法のポイント

his eyes fell upon the stick
eyes fell uponは「目が〜にとまった」。目そのものが落ちたという意味ではなく、入室した客が杖に気づく瞬間を表す。
for the world
否定とともに使われ、「どんなことがあっても〜したくない」という強い気持ちを表す。ここでは杖を絶対になくしたくないというモーティマーの言葉。

全文の対訳

The appearance of our visitor was a surprise to me, since I had expected a typical country practitioner. He was a very tall, thin man, with a long nose like a beak, which jutted out between two keen, grey eyes, set closely together and sparkling brightly from behind a pair of gold-rimmed glasses. He was clad in a professional but rather slovenly fashion, for his frock-coat was dingy and his trousers frayed. Though young, his long back was already bowed, and he walked with a forward thrust of his head and a general air of peering benevolence. As he entered his eyes fell upon the stick in Holmes's hand, and he ran towards it with an exclamation of joy. "I am so very glad," said he. "I was not sure whether I had left it here or in the Shipping Office. I would not lose that stick for the world."

典型的な田舎の開業医を予想していた私には、客の外見は意外だった。ひどく背が高く痩せた男で、金縁の眼鏡の奥できらきら光る、間隔の狭い鋭い灰色の目の間から、くちばしのような長い鼻が突き出していた。医師らしい服装ではあるが、かなりだらしなく、フロックコートは薄汚れ、ズボンの裾はほつれていた。若いのに長い背中はもう曲がっていて、頭を前へ突き出して歩き、全体に、親切そうに人の顔をのぞき込むような様子があった。入ってくるとホームズの手の杖に目をとめ、喜びの声を上げて駆け寄った。「本当によかった」と彼は言った。「こちらに忘れたのか、船会社の事務所に忘れたのか、分からなかったのです。その杖は、何があってもなくしたくありません」

"A presentation, I see," said Holmes.

「贈り物のようですね」とホームズは言った。

"Yes, sir."

「はい、そうです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • jutted(ジャッティッド)… 突き出た・張り出した難
  • clad(クラッド)… 身にまとった(古風・文語)難
  • slovenly(スラヴンリー)… だらしない・雑な難
  • frock-coat(フロックコウト)… フロックコート(ひざ丈の男性用上着)難
  • dingy(ディンジー)… くすんだ・薄汚れた難
  • frayed(フレイド)… すり切れた・ほつれた難
  • thrust(スラスト)… 突き出すこと・押し込んだ・突き出した・突き出した・押しやった(thrust の過去形・過去分詞)・突き出す難
  • benevolence(ビネヴァランス)… 親切心・慈愛難

次の場面:杖を贈った友人 Friends and a Gift

モーティマーは置き忘れた杖を見つけ、贈り物であることをホームズに話している。名簿と刻印から推測していた二人は、ここで本人に事情を尋ねられる。どこの友人から、どの機会に受け取った品なのか。観察と説明を比べる会話が続こうとする。