Scene 149 · Notes

解説 場面 149「名を確かめる」

この場面の解説

ステイプルトンは昆虫を逃したと話し、二人がもう紹介を済ませたと思う。妹が相手をヘンリー卿だと思っていると分かり、ワトソンは身元を訂正する。

表現・文法のポイント

a humble commoner
しがない平民という、ワトソンの控えめな言い方。準男爵の卿と間違えられたため、自分は爵位のない友人だと区別する。
You have introduced yourselves
互いに自己紹介を済ませた、というステイプルトンの受け止め。実際には、彼女は相手の身元を取り違えていた。

全文の対訳

"Well, Jack, you are very hot."

「まあ、ジャック、ずいぶん暑そうね」

"Yes, I was chasing a Cyclopides. He is very rare and seldom found in the late autumn. What a pity that I should have missed him!" He spoke unconcernedly, but his small light eyes glanced incessantly from the girl to me.

「ああ、キクロピデスを追っていたんだ。とても珍しく、晩秋にはめったに見つからない。逃したのは惜しい」何気ない調子だったが、小さな淡い目は、絶えず彼女と私の間を行き来した。

"You have introduced yourselves, I can see."

「もう、自己紹介は済んだようだね」

"Yes. I was telling Sir Henry that it was rather late for him to see the true beauties of the moor."

「ええ。ヘンリー卿に、荒れ地の本当の美しさを見るには、少し遅い時季だと話していたの」

"Why, who do you think this is?"

「おや、この方を誰だと思っているんだ?」

"I imagine that it must be Sir Henry Baskerville."

「ヘンリー・バスカヴィル卿でしょう?」

"No, no," said I. "Only a humble commoner, but his friend. My name is Dr. Watson."

「いえ、違います」と私は言った。「しがない平民ですが、卿の友人です。ワトソン医師と申します」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cyclopides(サイクロピディーズ)… キクロピデス(本文中の昆虫名)難
  • unconcernedly(アンカンサーンドリー)… 何気なく・気にしないで
  • incessantly(インセスントリー)… 絶え間なく
  • introduced(イントロデュースト)… 紹介した
  • beauties(ビューティーズ)… 美しいもの・見どころ・見事なもの(ここでは美しい馬たち)・美人たち
  • commoner(コモナー)… 平民・爵位のない人
  • chasing(チェイスィング)… 追いかけること
  • glanced(グラーンスト)… ちらりと見た

次の場面:家へ招かれて Invited to the House

ワトソンが自分の名を告げ、ステイプルトン嬢が相手を取り違えていたことが分かっている。小道での会話はいったん収まり、三人には家を訪ねる話が残っている。草の道の先にある住まいはどのような所なのか。初めての訪問が、改めて始まろうとしている。