Scene 55 · Notes

解説 場面 55「当夜の道筋」

この場面の解説

荒れ地から来る何かを恐れたなら、館から遠ざかる行動は不合理だとホームズは考える。さらに、寒く湿った夜に小門付近で待った理由を問い、誰かとの約束を推測する。

表現・文法のポイント

instead of towards it
家へ向かう代わりに、家から遠ざかる方へ走った、という対比。itは家を指し、恐怖の原因が来た荒れ地ではない。
given him credit for
人にある能力を認め、評価するということ。ホームズは、葉巻の灰から待ち時間を推理した医師の実際的な判断力を、以前の自分の評価以上だったと述べる。

全文の対訳

"How can you say that?"

「なぜ、そんなことが言える?」

"I am presuming that the cause of his fears came to him across the moor. If that were so, and it seems most probable, only a man who had lost his wits would have run from the house instead of towards it. If the gipsy's evidence may be taken as true, he ran with cries for help in the direction where help was least likely to be. Then, again, whom was he waiting for that night, and why was he waiting for him in the yew alley rather than in his own house?"

「恐怖の原因は、荒れ地を横切って彼の所へ来たと考えている。もしそうなら、そして、その可能性がいちばん高そうだが、家へ向かわず家から遠ざかる方へ走るのは、正気を失った人だけだ。あのジプシーの証言を真実と受け取るなら、彼は助けを求めて叫びながら、助けのいちばんいそうにない方向へ走ったんだ。それから、あの晩、誰を待っていたのか。なぜ自分の屋敷ではなく、イチイの並木道で待っていたのか?」

"You think that he was waiting for someone?"

「誰かを待っていたと思うのか?」

"The man was elderly and infirm. We can understand his taking an evening stroll, but the ground was damp and the night inclement. Is it natural that he should stand for five or ten minutes, as Dr. Mortimer, with more practical sense than I should have given him credit for, deduced from the cigar ash?"

「年配で体も弱かった。夕方の散歩は理解できるが、地面は湿り、夜は天候が悪かった。モーティマー医師が、私の評価以上の実際的な判断力を使い、葉巻の灰から推理したように、五分か十分そこに立っていたとしたら、不自然ではないか?」

"But he went out every evening."

「だが、毎晩外へ出ていたんだよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • presuming(プリジューミング)… 仮定すること・〜と見込んで難
  • inclement(インクレマント)… 天候の悪い・荒れた難
  • deduced(ディデュースト)… 推理した・推論した難
  • direction(ディレクション)… 方向・(推理の)向かう方向・結論の行く先・方角・指示
  • practical(プラクティカル)… 実務にたけた・実際的な・悪ふざけの(practical jokeで)・実際的な・実際的な・実際の
  • probable(プロバブル)… ありそうな・たぶん起こる
  • evidence(エヴィデンス)… 証拠・証言・証言・証拠
  • gipsy's(ジプスィーズ)… ジプシーと呼ばれた人の(gipsyの所有格)

次の場面:翌朝を前に Before the Morning Meeting

チャールズ卿は毎晩散歩をしていたというが、その夜に門の前で過ごした時間まで同じだったのか。二人の会話は習慣と当夜の違いへ戻っている。翌朝には医師と相続人を迎える約束があり、それまでに何を考えておくべきかという区切りが近づいている。