Scene 103 · Notes

解説 場面 103「遠くを行く人影」

この場面の解説

望遠鏡の先では、包みを担いだ少年が用心深く丘を越えていく。老人は秘密の用事だと勝ち誇るが、警察には教えないと宣言し、ワトソンにも口止めする。

表現・文法のポイント

dreads pursuit
「追跡をひどく恐れる」。少年が周囲をこそこそ見回す理由を、ワトソンが動作から推測している。
bind you to secrecy
「秘密を守るよう義務付ける」。物理的に縛るのではなく、口外しない約束を求める言い方。

全文の対訳

There he was, sure enough, a small urchin with a little bundle upon his shoulder, toiling slowly up the hill. When he reached the crest I saw the ragged uncouth figure outlined for an instant against the cold blue sky. He looked round him with a furtive and stealthy air, as one who dreads pursuit. Then he vanished over the hill.

確かにそこにいた。小さな包みを肩に載せた、みすぼらしい少年が、ゆっくり苦労しながら丘を登っていた。頂へ達すると、ぼろをまとった粗野な姿が、冷たい青空を背景に一瞬くっきり浮かび上がった。追われることを恐れる者のように、こそこそと辺りを見回した。それから丘の向こうへ消えた。

"Well! Am I right?"

「どうです。私が正しかったでしょう」

"Certainly, there is a boy who seems to have some secret errand."

「確かに、何か秘密の用事を抱えているらしい少年がいます」

"And what the errand is even a county constable could guess. But not one word shall they have from me, and I bind you to secrecy also, Dr. Watson. Not a word! You understand!"

「その用事が何かなど、州の巡査にさえ推測できます。だが私からは一言たりとも教えません。ワトソン先生、あなたにも秘密を守ってもらいます。一言もです。分かりましたね」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • urchin(アーチン)… いたずら小僧・少年難
  • uncouth(アンクース)… 粗野な難
  • furtive(ファーティヴ)… こそこそした・人目を避ける難
  • constable(カンスタブル)… 警官
  • outlined(アウトラインド)… 輪郭が浮かび上がった・概略を述べた
  • stealthy(ステルスィー)… 忍びやかな・こそこそした
  • vanished(ヴァニッシュト)… (さっと)姿を消した・消え失せた
  • toiling(トイリング)… 苦労して進む

次の場面:館を辞して Leaving Lafter Hall

老人が望む秘密の扱いについて、ワトソンは返事をする。話を聞いたあとは、自分の調査へ戻りたい。ラフター館での滞在を終え、次に歩く道を考えようとしている。人から聞いた話を手がかりに、自分で確かめるためには、ここから別の道を歩く必要がある。