Scene 110 · Notes

解説 場面 110「近づく足音」

この場面の解説

石を踏む靴音が近づき、ワトソンは暗い隅で拳銃を構える。入口に影が差すと、聞き慣れた声がワトソンへ外へ出るよう呼びかける。

表現・文法のポイント

cocked the pistol
「拳銃の撃鉄を起こした」。鳥の雄を意味するcockではなく、発射できるよう銃を構える動作。
a well-known voice
「聞き慣れた声」。この場面ではまだ話者名を直接書かず、ワトソンが声で分かった驚きを示す。

全文の対訳

And then at last I heard him. Far away came the sharp clink of a boot striking upon a stone. Then another and yet another, coming nearer and nearer. I shrank back into the darkest corner and cocked the pistol in my pocket, determined not to discover myself until I had an opportunity of seeing something of the stranger. There was a long pause which showed that he had stopped. Then once more the footsteps approached and a shadow fell across the opening of the hut.

そして、ついに人の近づく音が聞こえた。遠くから、靴が石に当たる鋭い音が響いた。もう一度、さらにもう一度と、次第に近づいてくる。私は最も暗い隅へ身を引き、ポケットの中で拳銃の撃鉄を起こした。見知らぬ男の姿を確かめる機会が来るまで、自分の存在を明かすまいと決めていた。長い間があり、男が立ち止まったことが分かった。それから再び足音が近づき、小屋の入口へ影が差した。

"It is a lovely evening, my dear Watson," said a well-known voice. "I really think that you will be more comfortable outside than in."

「実に気持ちのよい夕べだね、ワトソン君」と、聞き慣れた声が言った。「中より外の方が、ずっと居心地がよいと思うよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cocked(コックト)… (頭を)かしげた・(耳を)立てた・(銃の撃鉄を)起こした(cock の過去形)難
  • determined(ディターミンド)… 断固とした・きっぱりした・決心している・断固とした
  • approached(アプロウチト)… 近づいた・〜から行ける・道や場所に近づかれた・行き着かれた・近づいた(approach の過去・過去分詞)
  • footsteps(フットステップス)… 足跡・足音
  • striking(ストライキング)… 打ちつけている・叩いている・目立つ
  • shrank(シュランク)… 身を縮めた
  • pistol(ピストル)… 拳銃・ピストル
  • shadow(シャドウ)… 影のように痩せた姿・尾行者・影・(疑いの)わずかな気配(a shadow of a doubt)・影

次は第 6 章「荒れ地の死〔前半〕」

荒れ地の小屋で待っていたワトソンへ、外から聞き慣れた声がかかる。姿を確かめる前に呼びかけられ、彼は驚いている。ここまで一人でたどってきた相手は、いま何を話そうとしているのか。夕暮れの小屋で、これまでの観察を確かめる対話が始まろうとしている。