Scene 123 · Notes

解説 場面 123「立ち上がる前に」

この場面の解説

ワトソンが事件の核心を問うと、ホームズは手の込んだ計画殺人だと答える。証拠が完成するまであと一、二日だが、その前に敵が動く危険を案じ、ヘンリー卿を厳重に守るよう命じる。

表現・文法のポイント

refined, cold-blooded, deliberate murder
「手の込んだ、冷血で、計画的な殺人」。refinedは品が良いという称賛ではなく、犯罪の方法が巧妙で複雑なこと。
almost at my mercy
「もうほとんど私の掌中にある」。mercyは憐れみだが、at one's mercyは相手が自分の処置に抵抗できない状態を表す。

全文の対訳

"One last question, Holmes," I said as I rose. "Surely there is no need of secrecy between you and me. What is the meaning of it all? What is he after?"

「最後に一つだけ聞かせてくれ、ホームズ」と、私は立ち上がりながら言った。「もう君と私の間で秘密にする必要はないだろう。これは一体何を意味しているんだ。彼は何をたくらんでいる」

Holmes's voice sank as he answered:

ホームズは声を低めて答えた。

"It is murder, Watson—refined, cold-blooded, deliberate murder. Do not ask me for particulars. My nets are closing upon him, even as his are upon Sir Henry, and with your help he is already almost at my mercy. There is but one danger which can threaten us. It is that he should strike before we are ready to do so. Another day—two at the most—and I have my case complete, but until then guard your charge as closely as ever a fond mother watched her ailing child. Your mission today has justified itself, and yet I could almost wish that you had not left his side. Hark!"

「殺人だ、ワトソン。手の込んだ、冷血で、計画的な殺人だ。詳細は聞かないでくれ。彼の網がヘンリー卿の周囲で締まっているのと同じように、私の網も彼の周囲で締まりつつある。そして君の助けで、彼はもうほとんど私の掌中にある。私たちを脅かし得る危険は、たった一つだ。私たちの準備が整う前に、彼が手を下すことだ。あと一日——長くても二日——あれば、私の立証は完成する。しかしそれまでは、情愛深い母親が病んだ子を見守る以上の注意を払って、君の護衛対象を守りたまえ。今日の君の行動には十分な価値があった。それでも、君が彼のそばを離れなければよかったと、私は思いかけている。聴きたまえ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • particulars(パティキュラーズ)… 詳細・詳しいこと難
  • hark(ハーク)… 聞け・耳を澄ませ難
  • cold-blooded(コウルドブラディッド)… 冷酷な・冷血の
  • deliberate(ディリバレット)… 意図的な・計画的な・慎重な
  • justified(ジャスティファイド)… もっともな・正当な・根拠のある
  • threaten(スレトゥン)… 脅かす・脅す
  • secrecy(スィークレスィー)… 秘密厳守・内密
  • refined(リファインド)… 手の込んだ・洗練された

次は第 7 章「荒れ地の死〔後半〕」

小屋で会ったホームズとワトソンは、互いの調査について話し合っている。日が暮れた荒れ地には、星が見え始めている。館への帰路を考えるころにも、友人へ聞きたいことは残る。二人は話を続けながら、暗くなる周囲へ注意を向けようとしている。