Scene 143 · Notes

解説 場面 143「相手の出方」

この場面の解説

ホームズの存在を知った敵が慎重になるか、必死の手段に出るかは分からない。ワトソンは即時逮捕を主張するが、ホームズは猟犬を見つけても飼い主の犯罪は証明できないと説く。

表現・文法のポイント

for argument's sake
「議論のために仮に」。実際にそうするのではなく、その場合の結果を考えるため仮定する表現である。
putting a rope round the neck
「首に縄をかける」。当時の絞首刑を背景に、有罪にすることを表す。

全文の対訳

"What effect do you think it will have upon his plans now that he knows you are here?"

「君がここにいると知った以上、彼の計画にはどんな影響が出ると思う」

"It may cause him to be more cautious, or it may drive him to desperate measures at once. Like most clever criminals, he may be too confident in his own cleverness and imagine that he has completely deceived us."

「より慎重になるかもしれないし、すぐに必死の手段へ訴えるかもしれない。利口な犯罪者の多くがそうであるように、彼も自分の頭のよさを過信し、私たちを完全に欺したと思い込むかもしれない」

"Why should we not arrest him at once?"

「なぜすぐに彼を逮捕しないんだ」

"My dear Watson, you were born to be a man of action. Your instinct is always to do something energetic. But supposing, for argument's sake, that we had him arrested tonight, what on earth the better off should we be for that? We could prove nothing against him. There's the devilish cunning of it! If he were acting through a human agent we could get some evidence, but if we were to drag this great dog to the light of day it would not help us in putting a rope round the neck of its master."

「親愛なるワトソン、君は行動の人になるために生まれてきたのだな。君の本能は、いつでも何か活発な行動を起こすことへ向かう。だが議論のために、今夜彼を逮捕させたとしよう。それで一体、私たちの立場がどれほどよくなるというのだ。彼に不利な何一つ証明できない。それこそが、この件の悪魔的な狡猾さなのだ。もし彼が人間の手先を使っていれば、私たちは何か証拠を得られるだろう。しかし、この巨大な犬を白日の下へ引きずり出したところで、その飼い主の首に縄をかける助けにはならない」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • cleverness(クレヴァネス)… 賢さ・利口さ・巧妙さ
  • argument's(アーギュマンツ)… 議論の(argumentの所有格)
  • desperate(デスパレット)… 追い詰められた・必死な・絶望的な
  • criminals(クリミナルズ)… 犯罪者・悪党(criminal の複数形)
  • energetic(エナジェティック)… 精力的な・エネルギッシュな
  • supposing(サポウズィング)… 仮に〜とすると・想像して
  • measures(メジャーズ)… 手段・対策(複数)
  • deceived(ディスィーヴド)… だました・欺いた(deceive の過去・過去分詞)

次の場面:残る難しさ The Remaining Difficulty

ワトソンは、今ある事実でどこまで進めるかを知りたい。ホームズには、まだ十分でないと考える点があるようだ。館へ向かう道で、二人は具体的に話し合おうとしている。気持ちだけで先へ進むことはできず、何を根拠として示せるかを、二人は考え直そうとしている。