Scene 167 · Notes

解説 場面 167「話し出す夫人」

この場面の解説

裏切りを知ったライオンズ夫人は、ステイプルトンに道具として使われたと悟る。彼を守る理由はもうないと宣言し、すべてを話すと約束する。

表現・文法のポイント

a tool in his hands
「彼の手の中の道具」。愛情の対象ではなく、計画に利用されたことを表す。
preserve faith with him
ここのfaithは信仰ではなく、彼に対する忠実や信義を意味する。

全文の対訳

"Mr. Holmes," she said, "this man had offered me marriage on condition that I could get a divorce from my husband. He has lied to me, the villain, in every conceivable way. Not one word of truth has he ever told me. And why—why? I imagined that all was for my own sake. But now I see that I was never anything but a tool in his hands. Why should I preserve faith with him who never kept any with me? Why should I try to shield him from the consequences of his own wicked acts? Ask me what you like, and there is nothing which I shall hold back. One thing I swear to you, and that is that when I wrote the letter I never dreamed of any harm to the old gentleman, who had been my kindest friend."

「ホームズさん」と彼女は言った。「この男は、私が夫と離婚できたら結婚すると申し出たのです。この悪人は、考えられるあらゆるやり方で私を騙していました。彼が私に言ったことには、真実などひとこともありません。なぜ、なぜなのです。すべて私のためだと思っていました。しかし今は、私が彼の手の中の道具でしかなかったと分かります。私との約束をひとつも守らなかった人に、なぜ私が操を尽くさねばならないのです。自分が犯した悪事の報いから彼を守るために、なぜ私が努力しねばならないのです。何でもお聞きください。何ひとつ隠しません。これだけは誓います。あの手紙を書いたとき、私にとって誰より親切な友人だったあのご老人に、悪いことが起きるなどとは夢にも思っていませんでした」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • consequences(コンスィクウェンスィズ)… 結果・報い(consequenceの複数)
  • conceivable(カンスィーヴァブル)… 考えられる・想像できる
  • condition(コンディション)… 条件・状態
  • imagined(イマジンド)… 想像した
  • preserve(プリザーヴ)… 保つ・維持する・収入を維持する・失わないようにする・とっておく・保存する・守る
  • divorce(ディヴォース)… 離婚
  • villain(ヴィラン)… 悪党・悪人
  • wicked(ウィキッド)… 邪悪な・たちの悪い

次の場面:順序をたどる Tracing the Sequence

夫人の話を受け、ホームズは手紙が書かれた経緯から確かめようとしている。誰に何を言われ、どう考えたのか。記憶を順番にたどるため、具体的な問いが続く。いつ何があったのかを分けて聞くことで、前に聞いた話と比べるための材料も整理できるだろう。