Scene 46 · Notes

解説 場面 46「闇の中で立ち止まる」

この場面の解説

荒れ地に奇妙な遠ぼえが繰り返し響き、二人は足を止めて聞く。ヘンリー卿は、消えた音を猟犬の声だったと言う。

表現・文法のポイント

As if in answer
「答えるかのように」。直前のヘンリー卿の言葉のあとで声が響いたため、そう感じられるという語り方だ。
died away
音が「次第に弱まり消えた」。声の主が死んだという意味ではなく、聞こえ方の変化を表す。

全文の対訳

As if in answer to his words there rose suddenly out of the vast gloom of the moor that strange cry which I had already heard upon the borders of the great Grimpen Mire. It came with the wind through the silence of the night, a long, deep mutter, then a rising howl, and then the sad moan in which it died away. Again and again it sounded, the whole air throbbing with it, strident, wild, and menacing. The baronet caught my sleeve and his face glimmered white through the darkness.

彼の言葉に答えるかのように、荒れ地の広大な闇から、あの奇妙な声が突然上がった。大きなグリンペンの大沼の縁で、すでに聞いたあの声だ。夜の静けさを風に乗って渡り、長く低いざわめきから、高まる遠ぼえとなり、やがて悲しげなうめきの中へ消えていった。繰り返し響き、その耳障りで、荒々しく、脅すような音で、空気全体が震えた。準男爵は私の袖をつかみ、闇を透かして顔が白く浮かんだ。

"My God, what's that, Watson?"

「何だ、あれは、ワトソン」

"I don't know. It's a sound they have on the moor. I heard it once before."

「分かりません。この荒れ地で聞こえる音です。一度、前に聞いたことがあります」

It died away, and an absolute silence closed in upon us. We stood straining our ears, but nothing came.

声は消え、完全な静けさが、われわれの周りを閉ざした。耳を澄ませて立っていたが、何も聞こえなかった。

"Watson," said the baronet, "it was the cry of a hound."

「ワトソン」と準男爵は言った。「あれは猟犬の声だった」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • gloom(グルーム)… 薄暗がり・闇・憂うつ難
  • strident(ストライダント)… 耳障りな・甲高い難
  • straining(ストレイニング)… (耳を)そばだてている・緊張させている・無理に引っぱる難
  • throbbing(スロビング)… 脈打つ・繰り返し響く
  • glimmered(グリマード)… かすかに光った
  • menacing(メナスィング)… 脅すような・威嚇する
  • absolute(アブソルート)… 完全な・絶対的な
  • borders(ボーダーズ)… 境・国境(複数)

次の場面:耳にした音 A Sound in the Night

荒れ地に響く音を聞き、ヘンリー卿はワトソンへ尋ねている。昼間の館で話すのとは違い、周囲には暗い土地が広がる。聞こえたものをどう考えるか、会話が続く。自分が耳にした音について、ヘンリー卿は、そばにいるワトソンの知ることも聞きたがっている。