Scene 76 · Notes

解説 場面 76「聞き返した言葉」

この場面の解説

食料を取ったのはセルデンとは限らず、荒れ地にはもう一人の男がいるとバリモアは明かす。その男は囚人ではないらしいが、執事は強い不安を感じていた。

表現・文法のポイント

another man upon the moor
「荒れ地にもう一人男がいる」。岩山でワトソンが見た人影と結び付く、新しい証言となる。
I don't like it
単なる好みではなく、得体の知れない男の存在に危険や悪意を感じているという警戒の言葉。

全文の対訳

I sat with my coffee-cup halfway to my lips and stared at Barrymore.

私はコーヒーカップを口へ運びかけたまま、バリモアを見つめた。

"You know that there is another man then?"

「では、もう一人の男がいると知っているのか」

"Yes, sir; there is another man upon the moor."

「はい、旦那様。荒れ地には、もう一人男がおります」

"Have you seen him?"

「見たのか」

"No, sir."

「いいえ、旦那様」

"How do you know of him then?"

「では、なぜ知っている」

"Selden told me of him, sir, a week ago or more. He's in hiding, too, but he's not a convict as far as I can make out. I don't like it, Dr. Watson—I tell you straight, sir, that I don't like it." He spoke with a sudden passion of earnestness.

「一週間か、それより前に、セルデンから聞きました。その男も身を隠しておりますが、私に分かる限り、囚人ではありません。私は気に入りません、ワトソン先生。はっきり申し上げますが、どうにも気に入りません」彼は突然、強い真剣さを込めて話した。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • earnestness(アーニストネス)… 真剣さ・切実さ
  • convict(コンヴィクト)… 囚人・受刑者
  • passion(パッション)… 熱中・情熱・欲望・激情・激しい怒り・激怒・強い愛情・情熱・熱中・目がないこと
  • stared(ステアド)… じっと見つめた
  • hiding(ハイディング)… 隠れている・隠すこと
  • upon(アポン)… 〜に・〜に基づいて・〜の上に・〜の状態や関係で(upon termsで、〜の間柄で)・(effect uponで)〜に対する・〜への・(work uponで)〜を研究・実験して・〜の上に(on のやや改まった形)
  • moor(モー)… 荒れ地・高原の未開地

次の場面:窓の方へ Toward the Window

ワトソンは、ヘンリー卿を守るためにここへ来たことを執事へ伝える。聞いたことを曖昧にしたままではいられない。雨の音のする書庫で、さらに話を促そうとしている。主人を心配する点では、ワトソンと長く館に仕えた執事にも、共通する思いがあるはずだ。