Scene 87 · Notes

解説 場面 87「もう一度尋ねる」

この場面の解説

死の当日に会う手紙を書いたかと問われたローラは否定するが、追伸を引用されて青ざめる。約束の文面を突き付けられ、気を失いかけながら立て直す。

表現・文法のポイント

a deathly face
「死人のような顔」。実際に死亡したのではなく、驚きと恐怖で血の気を失った様子だ。
I saw rather than heard
乾いた唇が動くだけで、否定の言葉は聞き取れなかった。返事を耳より目で理解したということ。

全文の対訳

Mrs. Lyons flushed with anger again. "Really, sir, this is a very extraordinary question."

ライオンズ夫人は、また怒りで顔を赤らめた。「本当に、ずいぶん突飛なご質問ですこと」

"I am sorry, madam, but I must repeat it."

「申し訳ありません。しかし、もう一度お尋ねしなければなりません」

"Then I answer, certainly not."

「ではお答えします。断じてありません」

"Not on the very day of Sir Charles's death?"

「チャールズ卿が亡くなった、まさにその日にも」

The flush had faded in an instant, and a deathly face was before me. Her dry lips could not speak the "No" which I saw rather than heard.

赤みはたちまち消え、死人のような顔が私の前にあった。乾いた唇は『いいえ』と言葉にできず、私にはその返事が聞こえたというより、見えた。

"Surely your memory deceives you," said I. "I could even quote a passage of your letter. It ran 'Please, please, as you are a gentleman, burn this letter, and be at the gate by ten o'clock.'"

「どうやら記憶違いをなさっているようです」と私は言った。「あなたの手紙の一節を、そのまま挙げることさえできます。こう書かれていました。『お願いです。紳士として、この手紙を燃やし、十時までに門へ来てください』」

I thought that she had fainted, but she recovered herself by a supreme effort.

彼女は気を失ったかと思われたが、並外れた努力で自分を立て直した。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • extraordinary(イクストローディナリー)… 並外れた
  • recovered(リカヴァード)… 回復した・取り戻した・収容した・(自信などを)取り戻した・取り戻された(recover の過去分詞)
  • deceives(ディスィーヴズ)… 欺く
  • instant(インスタント)… 一瞬・即時の
  • deathly(デスリー)… 死んだような
  • passage(パスィッジ)… 廊下・通路・(文章の)一節
  • fainted(フェインティッド)… 気を失った(faint の過去形)
  • supreme(スプリーム)… この上ない・最高の

次の場面:書いた言葉について About the Written Words

手紙についての問いは、具体的な文言にまで進んでいる。ライオンズ夫人には、その言葉がどう伝わったのか気になるようだ。ワトソンは本人の説明を聞こうとしている。誰かから聞いた手紙の話と、それを書いた本人の記憶とを、ワトソンは照らし合わせようとしている。