Scene 23 · Notes

解説 場面 23「週四ポンド」

この場面の解説

質屋は夕方の商売なので、午前中の勤めはウィルソンに都合がよく、店は助手に任せられる。給料は週四ポンド、仕事は「名ばかり」だと言われ、ウィルソンはそれがどういう意味かと尋ねる。

表現・文法のポイント

mostly done of an evening
of an evening は「(いつも)夕方に」という古風な言い方で、習慣的にくり返すことを表す。今なら in the evenings。あとの場面に出る once of a morning(午前中に一度)も同じ形だ。mostly は「主に、たいてい」。
he would see to anything that turned up
see to ~ は「~を引き受ける、処理する」、turn up は「(不意に)起こる、現れる」。「何が起きても片づけてくれる」という意味で、ウィルソンが助手を信頼しきっていることがわかる。would は過去から見た未来を表す。
Is £ 4 a week
£ はポンドの記号で、£4 は「4ポンド」。直前の And the pay? を受けて、主語の The pay を省き Is から答えている。a week は「1週間につき」。次の Is purely nominal も同じく主語の省略だ。
Is purely nominal
nominal は「名目だけの、形ばかりの」。purely(まったく)がついて「仕事はほとんど無いに等しい」という意味になる。給料の高さに対して仕事が軽すぎるという話のおかしさが、この一言に表れている。

背景・時代

質屋(pawnbroker)
当時のロンドンの労働者にとって、質屋は暮らしに欠かせない店だった。給料日前に服や道具を預けて現金を借り、週末に給料が出ると請け出した。店先には三つの金色の玉の看板を掲げるのが習わしだった。
週4ポンド(£4 a week)
週4ポンドは年にすると200ポンドを超える。熟練した職人の週給が2ポンド前後だった時代なので、一日四時間の勤めでこの額はまさに破格の待遇だった。

全文の対訳

"Now a pawnbroker's business is mostly done of an evening, Mr. Holmes, especially Thursday and Friday evening, which is just before pay-day; so it would suit me very well to earn a little in the mornings. Besides, I knew that my assistant was a good man, and that he would see to anything that turned up.

「ところで、質屋の商売というのはたいてい夕方のものでしてね、ホームズさん、とりわけ給料日の直前にあたる木曜と金曜の晩が忙しいものですから、午前中に少し稼げるのは私にはまことに好都合だったんです。それに、助手はよくできた男ですから、何が起きてもうまく片づけてくれるとわかっていましたしね。

"'That would suit me very well,' said I. 'And the pay?'

「『それなら私にはとても好都合です』と私は言いました。『で、お給金のほうは?』

"'Is £ 4 a week.'

「『週に四ポンドです』

"'And the work?'

「『仕事のほうは?』

"'Is purely nominal.'

「『ほんの名ばかりのものです』

"'What do you call purely nominal?'

「『名ばかりとは、どういうことです?』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • pawnbroker's(ポーンブロウカーズ)… 質屋の(pawnbroker の所有格)・質屋の店難
  • nominal(ノミナル)… 名目だけの・形ばかりの・わずかな難
  • assistant(アシスタント)… 助手・店員
  • pay-day(ペイデイ)… 給料日
  • mostly(モウストリー)… 主に・たいてい
  • purely(ピュアリー)… まったく・純粋に・単に
  • suit(スート)… 〜に合わせる・〜に合う・スーツ
  • earn(アーン)… 稼ぐ・(給料を)得る

次の場面:部屋を出るな Never Leave the Room

「名ばかり」の中身は、勤務時間中ずっと事務所に、少なくとも建物の中にいることだ。一歩でも出れば地位は永久に失われ、遺言はその点に厳しいとロスは言う。たった四時間なら出ていく気などないと答えるウィルソンに、ロスは病気も商売も言いわけにならないと念を押す。