Scene 30 · Notes

解説 場面 30「大家の証言」

この場面の解説

途方に暮れたウィルソンは近所の事務所に尋ねて回るが、誰も何も知らない。一階に住む家主も、赤毛組合もダンカン・ロスの名も知らないと言い、四号室の紳士だと言われて「あの赤毛の男か」と聞き返す。

表現・文法のポイント

I was staggered, sir.
stagger は「よろめく」がもとの意味だが、受け身の be staggered は「ひどく驚いて呆然とする」。足もとがふらつくほどのショックを受けた、という感じだ。sir は目上の相手への丁寧な呼びかけで、ここではホームズに向けている。
I called at the offices round
call at ~ は「(場所を)訪ねる」。人を訪ねるときは call on ~ を使う。round はここでは「あたりの、近所の」という意味の副詞で、名詞の後ろに置かれている。around より round を好むのは英国英語らしい言い方だ。
what had become of the Red-headed League
what has become of ~ は「~はどうなったのか」という決まった言い方。become は「~になる」だが、この形では行方や成り行きを尋ねる。ここでは過去のある時点から見ているので had become と過去完了になっている。
never heard of any such body
body はここでは「体」ではなく「団体、組織」。any such ~ は「そのような~は何ひとつ」で、never と組んで「そんな団体は一度も聞いたことがない」と強く否定している。

背景・時代

1階(ground floor)
英国では地面と同じ高さの階を ground floor と呼び、first floor は日本でいう2階にあたる。ウィルソンの言う家主の会計士は、事務所が入るこの建物の一番下の階に住んでいたことになる。

全文の対訳

"I was staggered, sir. I did not know what to do. Then I called at the offices round, but none of them seemed to know anything about it. Finally, I went to the landlord, who is an accountant living on the ground floor, and I asked him if he could tell me what had become of the Red-headed League. He said that he had never heard of any such body. Then I asked him who Mr. Duncan Ross was. He answered that the name was new to him.

「私はもう、呆然としてしまいましてね。どうしていいかわかりませんでした。それで近所の事務所を回って尋ねてみたんですが、どこも何も知らないようでした。しまいに、一階に住んでいる会計士の家主のところへ行って、赤毛組合がどうなったのか教えてもらえないかと尋ねました。ところが、そんな団体は聞いたこともないと言うんです。そこで、ダンカン・ロスさんとはどういう人かと尋ねました。初めて聞く名前だ、という答えでした。

"'Well,' said I, 'the gentleman at No. 4.'

「『ほら』と私は言いました。『四号室の紳士ですよ』

"'What, the red-headed man?'

「『なんだって、あの赤毛の男かね?』

"'Yes.'

「『ええ』

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • accountant(アカウンタント)… 会計士
  • red-headed(レッドヘディッド)… 赤毛の
  • staggered(スタガード)… よろめいた・ふらついた
  • landlord(ランドロード)… 家主・大家
  • league(リーグ)… 組合・同盟(the Red-headed League で赤毛組合)・競技連盟

次の場面:うその住所 A False Address

組合の事務所に貼り紙を見つけたウィルソンは、建物の大家を訪ねる。大家によれば、四号室の赤毛の男はダンカン・ロスではなくウィリアム・モリスという弁護士で、昨日引っ越したという。教えられた新しい住所へ急いだウィルソンを待っていたのは、思いもよらない場所だった。