Scene 13 · Notes

解説 場面 13「姉の不安」

この場面の解説

ジュリアは、芝生で鳴っているならヘレンにも聞こえたはずだと不思議がるが、ヘレンは自分のほうが眠りが深いと答える。たいしたことではないと言い、姉は笑って戸を閉め、ヘレンは鍵を回す音を聞いた。ホームズに問われ、二人は博士のチーターとヒヒを恐れて、いつも戸に鍵をかけていたと明かす。

表現・文法のポイント

I wonder that you did not hear it also
I wonder that ~ は「~ということが不思議だ」。普通は I wonder if ~ で「~かしら」と言うが、that を使うと「~なのが驚きだ」という意味になる。もし芝生で鳴ったなら聞こえたはず、という筋道だ。
of no great consequence
of + 抽象名詞は形容詞のはたらきをし、of no consequence は「重要でない」。great を挟んで no great consequence とすると、「たいして重要ではない」とやわらげた言い方になる。
at any rate
「いずれにせよ、とにかく」。それまでの話題を切り上げ、本題から外れた点をまとめて片づけるときに使う。ここでは、口笛の話をこれ以上深追いしない姉の気持ちが表れている。
We had no feeling of security unless our doors were locked.
unless は if ~ not と同じ「~でない限り」。no ~ unless ... で、「…でなければ~がない」という形になる。feeling of security は「安心感」で、鍵をかける理由を簡潔に伝えている。

全文の対訳

"'Very likely. And yet if it were on the lawn, I wonder that you did not hear it also.'

「『ありそうなことね。でも、もし芝生で鳴っていたのなら、あなたに聞こえなかったのが不思議だわ』

"'Ah, but I sleep more heavily than you.'

「『ああ、でも私はあなたよりぐっすり眠るから』

"'Well, it is of no great consequence, at any rate.' She smiled back at me, closed my door, and a few moments later I heard her key turn in the lock."

「『まあ、どのみち、たいしたことではないわね』姉は私に笑みを返して戸を閉め、それから少しして、姉が鍵を回す音が聞こえました」

"Indeed," said Holmes. "Was it your custom always to lock yourselves in at night?"

「なるほど」とホームズは言った。「夜はいつも、鍵をかけて閉じこもるのが習慣でしたか?」

"Always."

「いつもです」

"And why?"

「なぜです?」

"I think that I mentioned to you that the Doctor kept a cheetah and a baboon. We had no feeling of security unless our doors were locked."

「博士がチーターとヒヒを飼っていると、お話ししたと思います。戸に鍵をかけていないと、安心できなかったのです」

"Quite so. Pray proceed with your statement."

「もっともだ。どうか話を続けてください」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • consequence(コンスィクウェンス)… 重要さ・結果難
  • baboon(バブーン)… ヒヒ難
  • mentioned(メンションド)… 口にした・触れた
  • statement(ステイトメント)… 話・陳述・声明
  • security(スィキュアリティー)… 安心・安全・警備
  • heavily(ヘヴィリー)… 重々しく・ひどく・激しく
  • cheetah(チーター)… チーター
  • proceed(プロスィード)… 続ける・進む

次の場面:嵐の夜 A Stormy Night

姉の死の夜が語られる。ヘレンは眠れず、不吉な予感を抱いたまま嵐の音を聞いている。そのとき、屋敷に姉の悲鳴が響く。ヘレンは寝間着にショールを巻いて廊下へ飛び出し、口笛と金属の音を耳にして、姉の部屋の戸がゆっくり開くのを見つめる。