Scene 13 · Notes

解説 場面 13「川辺の捜索」

この場面の解説

ホームズは危険な店で捜査の手掛かりを探していたと説明する。セントクレアの身を案じる話の後、口笛で合図し、迎えの馬車が近づく。

表現・文法のポイント

would not have been worth an hour's purchase
身元を見破られたら長くは生きられなかっただろう、という過去の仮定に続く表現。店で命を買うという意味ではない。危険の大きさを強調し、店主がホームズを恨んでいるという説明につながる。
trap
この場面では、murder-trapのtrapは人を陥れる罠であり、その後のour trapは迎えの軽馬車を指す。同じ形の語でも指す物が変わる。川沿いの危険な建物と、二人がこれから乗る乗り物を区別する。

全文の対訳

"Yes; one of my natural enemies, or, shall I say, my natural prey. Briefly, Watson, I am in the midst of a very remarkable inquiry, and I have hoped to find a clue in the incoherent ramblings of these sots, as I have done before now. Had I been recognised in that den my life would not have been worth an hour's purchase; for I have used it before now for my own purposes, and the rascally Lascar who runs it has sworn to have vengeance upon me. There is a trap-door at the back of that building, near the corner of Paul's Wharf, which could tell some strange tales of what has passed through it upon the moonless nights."

「そう、私にとっての天敵の一人、いや、本来の獲物と言った方がいいかな。手短に言うと、ワトソン、私は実に興味深い捜査の最中で、以前にもやったように、あの酔いどものでたらめな独り言から手掛かりを拾おうとしていたんだ。あの店で見破られていたら、一時間も命はなかっただろう。前にもあそこを自分の目的に使ったことがあり、店を仕切るあの悪党の船員上がりは、私への復讐を誓っているんだ。あの建物の裏、ポールズ波止場の角の近くには落とし戸がある。月のない夜、あそこを何が通ったのか、あの戸に口があれば妙な話が聞けるだろうね」

"What! You do not mean bodies?"

「なんだって。死体のことじゃないだろうね」

"Ay, bodies, Watson. We should be rich men if we had £ 1000 for every poor devil who has been done to death in that den. It is the vilest murder-trap on the whole riverside, and I fear that Neville St. Clair has entered it never to leave it more. But our trap should be here." He put his two forefingers between his teeth and whistled shrilly—a signal which was answered by a similar whistle from the distance, followed shortly by the rattle of wheels and the clink of horses' hoofs.

「そう、死体だよ、ワトソン。あの店で殺された哀れな人一人につき千ポンドもらえるなら、私たちは金持ちになれる。川沿いでも最悪の人殺しの罠だ。ネヴィル・セントクレアは、入ったきり二度と出てこられなくなったのではないかと心配している。だが、こちらの馬車はもう来る頃だ」彼は両手の人差し指を歯の間に挟み、鋭く口笛を吹いた。遠くから同じような口笛が応じ、やがて車輪の音と馬のひづめの響きが近づいてきた。

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • prey(プレイ)… 獲物・えじき難
  • rattle(ラトル)… (続けて鳴る)かたかた・がたがたという音・がたがた鳴る難
  • hoofs(フーフス)… ひづめ(複数)難
  • murder-trap(マーダートラップ)… 人殺しの罠・殺されかねない場所
  • forefingers(フォーフィンガーズ)… 人差し指(forefingerの複数)
  • remarkable(リマーカブル)… 注目すべき・著しい
  • incoherent(インコウヒアラント)… 筋の通らない・支離滅裂な
  • recognised(レコグナイズド)… 見破られた・誰だか分かった・知られている・認められた・~だと分かった・見覚えがあった(recognise の過去形、イギリス式綴り)

次の場面:迎えの馬車 The Waiting Trap

ホームズは川沿いの店で、ある捜索に役立つ話を探していた。そこには身の危険もあり、セントクレアという男性の行方を案じているという。説明が続く間に、遠くから車輪と馬の足音が近づく。ワトソンは、まだ事件の全体も今夜の行き先も知らない。