Scene 31 · Notes

解説 場面 31「玄関の明かり」

この場面の解説

馬車が家の前に止まると、夫人が戸口に現れる。同行者を見て期待するが、ホームズの様子から良い知らせがないと知る。

表現・文法のポイント

a standing question
立つ姿そのものが問いに見える、という比喩。前へ差し出す顔や開いた唇、待ちかねる身ぶりから、夫の知らせを求めていることが伝わる。書かれた質問が戸口にあるという意味ではない。
which sank into a groan
先に上げた希望の声が、うめき声へ変わることを述べる。whichが受けるのはa cry of hopeで、夫人そのものが倒れたのではない。ホームズが首を振ったのを見た後の、期待の変化を描いている。

全文の対訳

We had pulled up in front of a large villa which stood within its own grounds. A stable-boy had run out to the horse's head, and springing down, I followed Holmes up the small, winding gravel-drive which led to the house. As we approached, the door flew open, and a little blonde woman stood in the opening, clad in some sort of light mousseline de soie, with a touch of fluffy pink chiffon at her neck and wrists. She stood with her figure outlined against the flood of light, one hand upon the door, one half-raised in her eagerness, her body slightly bent, her head and face protruded, with eager eyes and parted lips, a standing question.

馬車は、広い敷地に建つ大きな屋敷の前に止まった。厩番の少年が馬の頭の所へ走ってきた。私は飛び降り、屋敷へ続く曲がりくねった細い砂利道を、ホームズについて上った。近づくと戸が勢いよく開き、小柄な金髪の女性が現れた。軽い絹モスリンのような服を着て、首元と手首にはふわふわしたピンクのシフォンが少し飾られていた。あふれる光を背に姿を浮かび上がらせ、片手を戸に置き、もう一方を待ちかねたように半ば上げ、少し身をかがめ、頭と顔を前へ差し出していた。切実な目と開いた唇、その立ち姿全体が問いそのものだった。

"Well?" she cried, "well?" And then, seeing that there were two of us, she gave a cry of hope which sank into a groan as she saw that my companion shook his head and shrugged his shoulders.

「どうでしたか」と彼女は叫んだ。「どうでしたか」私たちが二人いるのを見ると希望の声を上げたが、友人が首を振って肩をすくめるのを見て、それはうめき声に変わった。

"No good news?"

「良い知らせはないのですか」

"None."

「ありません」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • clad(クラッド)… 身にまとった(古風・文語)難
  • de(ドゥ)… ド(De Quinceyという姓の一部)・フランス語の「〜の」難
  • protruded(プロトルーディッド)… 突き出た・はみ出した難
  • gravel-drive(グラヴルドライヴ)… 砂利を敷いた車寄せの道
  • half-raised(ハーフレイズド)… 半ば上げた
  • stable-boy(ステイブルボイ)… 厩番の少年
  • approached(アプロウチト)… 〜から行ける・近づいた・道や場所に近づかれた・行き着かれた・近づいた(approach の過去・過去分詞)
  • mousseline(ムースリーヌ)… 薄く軽い織物・モスリン

次の場面:客を迎えて Welcoming a Companion

セントクレア夫人は戸口に現れ、帰ってきたホームズたちを迎える。一緒に来たワトソンの姿に一度は期待を寄せるが、夫の知らせはまだない。夫人は良い知らせがないことを確かめ、続けて問いかける。ワトソンは初対面の相手として、そのやり取りをそばで聞いている。