Scene 33 · Notes

解説 場面 33「夫人の問い」

この場面の解説

夫人は感情を気遣わず率直に答えてほしいと求める。夫が生きているかと問われ、ホームズは生存を信じていないと答える。

表現・文法のポイント

In your heart of hearts
胸の奥で本当にはどう思うか、という意味。heartを複数並べる形は、最も内面的な思いを強調する。夫人は慰めの言葉ではなく、ホームズ自身の率直な判断を聞こうとしている。
I do not
直前のthink that Neville is aliveを受け、省略して答えている。ここでは夫が生きているとは思わないという返事。夫人の話を聞かない、あるいは何もしないという意味ではなく、質問の述語を補って読む。

全文の対訳

"Now, Mr. Sherlock Holmes," said the lady as we entered a well-lit dining-room, upon the table of which a cold supper had been laid out, "I should very much like to ask you one or two plain questions, to which I beg that you will give a plain answer."

「さて、シャーロック・ホームズさん」と、冷たい料理が卓に並ぶ明るい食堂へ入りながら夫人は言った。「率直に一つ二つお尋ねしたいことがあります。どうか率直にお答えください」

"Certainly, madam."

「もちろんです、奥様」

"Do not trouble about my feelings. I am not hysterical, nor given to fainting. I simply wish to hear your real, real opinion."

「私の気持ちは気になさらないでください。私は取り乱すたちでも、気を失いやすいわけでもありません。ただ、本当の、本当のご意見を伺いたいのです」

"Upon what point?"

「どの点についてでしょう」

"In your heart of hearts, do you think that Neville is alive?"

「胸の奥では、ネヴィルが生きていると思っていらっしゃいますか」

Sherlock Holmes seemed to be embarrassed by the question. "Frankly, now!" she repeated, standing upon the rug and looking keenly down at him as he leaned back in a basket-chair.

シャーロック・ホームズはその問いに困った様子だった。「どうか率直に」と夫人は繰り返した。敷物の上に立ち、籐椅子にもたれるホームズを鋭く見下ろしていた。

"Frankly, then, madam, I do not."

「では率直に言いますが、奥様、そうは思いません」

"You think that he is dead?"

「死んだとお考えですか」

"I do."

「そうです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • basket-chair(バースケットチェア)… 籐椅子・枝編みの椅子難
  • dining-room(ダイニングルーム)… 食堂
  • embarrassed(エムバラスト)… 困惑した・きまり悪く感じた
  • hysterical(ヒステリカル)… 感情的に取り乱した
  • well-lit(ウェルリット)… 明るく照らされた
  • feelings(フィーリングズ)… 感情・気持ち
  • fainting(フェインティング)… 気を失うこと
  • repeated(リピーティッド)… 繰り返された・たび重なる

次の場面:率直な返事 An Honest Answer

食堂へ入った夫人は、感情への配慮よりも率直な答えがほしいとホームズに求める。夫が生きていると思うかという問いに、ホームズは厳しい見方を伝えた。夫人はその返事を受け止め、さらに尋ねようとしている。ワトソンは、続く会話をそばで聞いている。