Scene 39 · Notes

解説 場面 39「妻の確信」

この場面の解説

夫人は夫との強い結びつきから無事を信じていると述べる。ホームズはその考えと手紙を重く見つつ、ではなぜ帰らないのかと問いかける。

表現・文法のポイント

too much not to know
知らないでいられないほど多く見てきた、つまり経験からよく承知しているという構造。notを見落として、知らないほど経験が多いと逆に解釈しない。夫人の直感をただ否定せずに返すホームズの言葉である。
why should he remain away from you?
なぜ家族の所へ戻らず離れているのか、という説明を求める問い。shouldは義務として離れているべきだという意味ではない。夫が無事で文字も書けるという見方に対し、なお残る疑問を示している。

全文の対訳

"Oh, you must not discourage me, Mr. Holmes. I know that all is well with him. There is so keen a sympathy between us that I should know if evil came upon him. On the very day that I saw him last he cut himself in the bedroom, and yet I in the dining-room rushed upstairs instantly with the utmost certainty that something had happened. Do you think that I would respond to such a trifle and yet be ignorant of his death?"

「ああ、落胆させないでください、ホームズさん。あの人が無事だということは分かっています。私たちはとても強く心が通い合っていますから、何か悪いことがあれば分かるはずです。最後に会った日にも、主人は寝室で手を切りました。食堂にいた私には何か起きたとはっきり分かり、すぐ二階へ駆け上がったのです。そんな小さなことに気づいた私が、死んだことにも気づかないと思われますか」

"I have seen too much not to know that the impression of a woman may be more valuable than the conclusion of an analytical reasoner. And in this letter you certainly have a very strong piece of evidence to corroborate your view. But if your husband is alive and able to write letters, why should he remain away from you?"

「これまでにいろいろ見てきましたから、女性の直感が分析的な推論家の結論より価値を持つこともあると、よく承知しています。そして、この手紙には確かに、奥様のお考えを裏づける強い証拠があります。しかし、ご主人が生きていて手紙も書けるなら、なぜ離れたままなのでしょう」

"I cannot imagine. It is unthinkable."

「想像もできません。とても考えられないことです」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • dining-room(ダイニングルーム)… 食堂
  • corroborate(カロバレイト)… 裏づける・確証する
  • unthinkable(アンスィンカブル)… 考えられない・想像しがたい
  • discourage(ディスカリッジ)… 落胆させる・思いとどまらせる
  • impression(インプレッション)… 直感・印象・強い印象・足跡・押された跡・印象
  • conclusion(コンクルージョン)… 推論の結論・決着・結末・結論
  • analytical(アナリティカル)… 分析的な
  • instantly(インスタントリー)… すぐに・即座に

次の場面:月曜を振り返る Revisiting Monday

夫人は夫との結びつきを根拠に無事を信じているが、夫が帰らない理由は説明できない。ホームズも手紙を大切な証拠と認めながら、残る疑問を確かめようとする。そこで話題を、月曜日に夫人が見聞きしたことへ戻す。窓での出来事を、改めて順番に聞くところである。