Scene 12 · Notes

解説 場面 12「杖を贈った友人」

この場面の解説

杖は退職そのものではなく、結婚を祝って友人たちが贈った品だった。推理が狂ったと言うホームズに、モーティマーは結婚のため病院を辞めた事情を説明する。

表現・文法のポイント

on the occasion of my marriage
on the occasion ofは「〜に際して」。モーティマーは贈り物を受けた機会を明言し、ホームズが考えていた退職祝いとの違いを示す。
that's bad
ホームズがまずいと言っているのは客の結婚ではなく、自分たちの推理が狂ったこと。直後の説明と合わせれば、失礼にも聞こえる言葉の意図が分かる。

全文の対訳

"From Charing Cross Hospital?"

「チャリング・クロス病院から?」

"From one or two friends there on the occasion of my marriage."

「結婚した時に、あそこの二、三人の友人からもらいました」

"Dear, dear, that's bad!" said Holmes, shaking his head.

「おやおや、それはまずい」とホームズは首を振って言った。

Dr. Mortimer blinked through his glasses in mild astonishment. "Why was it bad?"

モーティマー医師は少し驚き、眼鏡越しに目をしばたたいた。「なぜ、まずいのですか」

"Only that you have disarranged our little deductions. Your marriage, you say?"

「ちょっとした私たちの推理が狂ったというだけです。ご結婚、とおっしゃいましたね?」

"Yes, sir. I married, and so left the hospital, and with it all hopes of a consulting practice. It was necessary to make a home of my own."

「はい。結婚して病院を辞め、それとともに専門医としての診療に進む望みもすべて捨てました。自分の家庭を持つ必要があったのです」

"Come, come, we are not so far wrong, after all," said Holmes. "And now, Dr. James Mortimer—"

「いやいや、結局、それほど外れてはいない」とホームズは言った。「では、ジェームズ・モーティマー博士――」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • disarranged(ディスアレインジド)… 乱した・狂わせた難
  • deductions(ディダクションズ)… 推理・推論・差し引き難
  • astonishment(アストニッシュメント)… 驚き・仰天
  • consulting(コンサルティング)… 専門医として相談診療を行う・相談すること・意見を求めること
  • necessary(ネセサリー)… 必要な
  • occasion(オケイジョン)… 折・機会・出来事・機会・場合
  • blinked(ブリンクト)… まばたきした

次の場面:名乗りと関心 Introductions and Interests

杖を贈られた事情を話したあと、ホームズは改めて客を呼びかける。モーティマーも自分の立場を言い直し、目の前の二人と挨拶を交わそうとしている。病院の職歴とは別に、学問へ向ける関心も会話へ入る。訪問の用件はまだ語られていない。