Scene 56 · Notes

解説 場面 56「翌朝を前に」

この場面の解説

ホームズは、毎晩の散歩と、あの晩だけ小門で待ったことを区別する。ロンドン出発前夜という点もつなぎ、翌朝の面会までは考えを寝かせることにする。

表現・文法のポイント

The thing takes shape
事件の輪郭が見え始めるという比喩。物体が形を変えるという意味ではなく、断片的な事実がつながってきたことを表す。
postpone all further thought
さらに考えるのを後へ回すこと。ホームズは結論が確定したとは言わず、翌朝二人から話を聞く機会を得てから検討を進めようとしている。

全文の対訳

"I think it unlikely that he waited at the moor-gate every evening. On the contrary, the evidence is that he avoided the moor. That night he waited there. It was the night before he made his departure for London. The thing takes shape, Watson. It becomes coherent. Might I ask you to hand me my violin, and we will postpone all further thought upon this business until we have had the advantage of meeting Dr. Mortimer and Sir Henry Baskerville in the morning."

「毎晩、荒れ地への小門で待っていたとは考えにくい。むしろ、荒れ地を避けていたという証拠がある。あの晩、彼はそこで待っていた。ロンドンへ出発する前の晩だった。形が見えてきたよ、ワトソン。筋が通ってきた。ヴァイオリンを取ってくれないか。この件をさらに考えるのは、明朝モーティマー医師とヘンリー・バスカヴィル卿に会って話を聞く機会を得てからにしよう」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • moor-gate(モーゲイト)… 荒れ地へ通じる小門
  • departure(ディパーチャー)… 出発・旅立ち
  • advantage(アドヴァーンティッジ)… 好機・利点・(take advantage of で)利用すること・利点・有利
  • unlikely(アンライクリー)… ありそうにない・起こりそうもない
  • contrary(コントラリー)… 反対・逆。on the contrary で「それどころか」
  • evidence(エヴィデンス)… 証拠・証言・証言・証拠
  • coherent(コウヒアラント)… 筋の通った・まとまりのある
  • postpone(ポウストポウン)… 延期する・後回しにする

次は第 4 章「ヘンリー・バスカヴィル卿」

約束した翌朝、ベイカー街では医師と相続人を迎える支度が整う。昨日の相談で案じられていたヘンリー卿は、ロンドンへ着いたばかりだ。本人は何を考え、どんな事情を話すのか。ホームズとワトソンは、実際に会って言葉を交わす時を待っている。