Scene 64 · Notes

解説 場面 64「立ち去る前に」

この場面の解説

バリモアは、チャールズ卿が亡くなった夜に誰かと会う約束をしていたと明かす。それは検死審問の後になって知ったことで、今まで誰にも話していなかった。

表現・文法のポイント

at the gate at that hour
「あの時刻に門にいた」。約束が死と関係するかはまだ不明だが、場所と時刻が重なるため重大な手がかりになる。
never breathed a word
「一言も漏らしていない」。breatheはここでは息をすることではなく、秘密を口にすることを表す。

全文の対訳

With a few broken words of gratitude the man turned, but he hesitated and then came back.

男は途切れ途切れに礼を述べて背を向けたが、ためらい、また戻ってきた。

"You've been so kind to us, sir, that I should like to do the best I can for you in return. I know something, Sir Henry, and perhaps I should have said it before, but it was long after the inquest that I found it out. I've never breathed a word about it yet to mortal man. It's about poor Sir Charles's death."

「旦那様は私どもに大変よくしてくださいました。そのお返しに、私もできる限りのことをしたいと存じます。私には心当たりがございます、ヘンリー卿。もっと前に申し上げるべきだったのかもしれませんが、知ったのは検死審問からずっとあとのことでした。このことは、これまで誰にも一言も話しておりません。亡きチャールズ卿のことに関わります」

The baronet and I were both upon our feet. "Do you know how he died?"

準男爵も私も、そろって立ち上がった。「伯父がどう死んだか知っているのか」

"No, sir, I don't know that."

「いいえ、旦那様。それは存じません」

"What then?"

「では、何を知っている」

"I know why he was at the gate at that hour. It was to meet a woman."

「あの時刻に、チャールズ卿が門にいた理由を知っております。女性と会うためでございました」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • inquest(インクウェスト)… 検視審問難
  • mortal(モータル)… 人間の・死すべき難
  • gratitude(グラティテュード)… 感謝
  • hesitated(ヘズィテイティッド)… ためらった・迷った
  • breathed(ブリーズド)… 口にした・息をした
  • baronet(バラニット)… 準男爵
  • upon(アポン)… 〜に・〜に基づいて・〜の上に・〜の状態や関係で(upon termsで、〜の間柄で)・(effect uponで)〜に対する・〜への・(work uponで)〜を研究・実験して・〜の上に(on のやや改まった形)

次の場面:名を尋ねる Asking for a Name

チャールズ卿の晩の行動について、新しい話が出てきた。ヘンリー卿とワトソンは、バリモアがどこまで知っているか確かめたい。まず相手の名を尋ねようとしている。昔の館の主人についての話を、いま暮らす者の口から直接聞けることは、調査には大切な機会だ。