Scene 75 · Notes

解説 場面 75「書庫のコーヒー」

この場面の解説

夕食後、ワトソンはバリモアにセルデンが去ったかを尋ねる。三日前に置いた食料はなくなっていたが、本人を見ていないため、まだ荒れ地にいるかは断定できない。

表現・文法のポイント

this precious relation of yours
直訳の「きみの大切な身内」には、問題を起こしたセルデンへの軽い皮肉が含まれる。
left out food for him
「彼のために食べ物を置いた」。直接会わず、決めた場所へ食料を運ぶ援助方法を指す。

全文の対訳

Mortimer had stayed to dinner, and he and the baronet played écarté afterwards. The butler brought me my coffee into the library, and I took the chance to ask him a few questions.

モーティマー医師は夕食まで残り、そのあと準男爵とエカルテをしていた。執事が図書室へコーヒーを運んで来たので、その機会にいくつか尋ねた。

"Well," said I, "has this precious relation of yours departed, or is he still lurking out yonder?"

「それで」と私は言った。「例の大切な身内は出発したのか。それとも、まだ向こうに潜んでいるのか」

"I don't know, sir. I hope to heaven that he has gone, for he has brought nothing but trouble here! I've not heard of him since I left out food for him last, and that was three days ago."

「分かりません、旦那様。もう去っていてくれと、心から願っております。ここへは面倒しか持ち込みませんでした。最後に食べ物を置いてから何の知らせもありません。それが三日前です」

"Did you see him then?"

「そのとき、姿を見たのか」

"No, sir, but the food was gone when next I went that way."

「いいえ、旦那様。ですが次にそこを通ったときには、食べ物がなくなっていました」

"Then he was certainly there?"

「なら、確かにそこにいたのだな」

"So you would think, sir, unless it was the other man who took it."

「そうお考えになるでしょう。もう一人の男が持っていったのでなければ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • écarté(エカルテ)… エカルテ(カードゲーム)難
  • yonder(ヨンダー)… 向こうに・あそこに(古風)難
  • precious(プレシャス)… 大切な・貴重な・高価な
  • relation(リレイション)… 関係・間柄・親類
  • departed(ディパーティッド)… 立ち去った・出発した
  • baronet(バラニット)… 準男爵
  • library(ライブラリー)… 図書室・蔵書・図書館
  • lurking(ラーキング)… 隠れている・潜んでいる

次の場面:聞き返した言葉 A Word Repeated

バリモアの話には、ワトソンが聞き返したくなる言葉がある。夜の荒れ地について、執事は何を知っているのか。コーヒーを前にした二人の会話が続こうとしている。執事から聞く荒れ地の話は、自分で見た夜の景色と、まだ確かでない推測との両方につながっている。