Scene 44 · Notes

解説 場面 44「答えはまだ」

この場面の解説

ストーナーさんは、ホームズがすでに結論を出していると見て姉の死因を尋ねる。ホームズは、確かな証拠を得るまで話さないと答える。ただ、姉の死が単なる突然の恐怖によるものとは思わず、もっと形のある原因があったと考えていると述べ、励ましの言葉を残して屋敷をあとにする。

表現・文法のポイント

made up your mind
make up one's mind は「決心する、考えを決める」。完了形の have already made up は「もう決めてしまっている」。ヘレンは、ホームズの落ち着いた様子から、すでに答えを得ていると察している。
for pity's sake
for pity's sake は「後生だから、お願いだから」と強く頼む決まり文句。pity は「哀れみ」で、「哀れと思って」が原義。for heaven's sake などと同じように使う。
some more tangible cause
tangible は「触れることができる」から「はっきりした、実体のある」の意味。fright(恐怖)という心の原因に対して、目に見える確かな原因を指す。some more は「もう少し」と程度を添える。
you may rest assured that
rest assured that ~ は「~と安心してよい、きっと~だ」という決まった言い方。rest は「(ある状態の)ままでいる」。may を使うことで、命令ではなく柔らかく相手を安心させる保証になっている。

全文の対訳

"I believe, Mr. Holmes, that you have already made up your mind," said Miss Stoner, laying her hand upon my companion's sleeve.

「ホームズさん、あなたはもう考えをお決めになっていると思います」とストーナーさんは言い、私の連れの袖に手を置いた。

"Perhaps I have."

「そうかもしれませんね」

"Then, for pity's sake, tell me what was the cause of my sister's death."

「それなら、後生ですから、姉の死因を教えてください」

"I should prefer to have clearer proofs before I speak."

「話す前に、もっとはっきりした証拠がほしいのです」

"You can at least tell me whether my own thought is correct, and if she died from some sudden fright."

「せめて、私の考えが当たっているかどうか、姉は何か突然の恐怖で死んだのかどうかだけでも教えてください」

"No, I do not think so. I think that there was probably some more tangible cause. And now, Miss Stoner, we must leave you for if Dr. Roylott returned and saw us our journey would be in vain. Good-bye, and be brave, for if you will do what I have told you, you may rest assured that we shall soon drive away the dangers that threaten you."

「いや、そうは思いません。もっと確かな、形のある原因があったのだろうと思います。さて、ストーナーさん、私たちはもう失礼しなければ。ロイロット博士が戻って私たちを見れば、ここまで来た甲斐がなくなりますから。さようなら、そして気を強くお持ちなさい。私の言ったとおりにしてくだされば、あなたを脅かす危険はまもなく必ず追い払えますよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • pity's(ピティーズ)… 哀れみの(for pity's sake=後生だから)難
  • tangible(タンジブル)… 形のある・確かな・触れられる難
  • assured(アシュアド)… 安心して・確信して(rest assured=安心してよい)難
  • companion's(カンパニオンズ)… 相棒の・連れの
  • threaten(スレトゥン)… 脅かす・脅す
  • laying(レイイング)… 置いている・横たえている・敷いている
  • sleeve(スリーヴ)… 袖
  • prefer(プリファー)… (〜のほうを)好む

次は第 4 章「夜の見張り」

村の宿に部屋を取ったホームズとワトソンは、屋敷の窓に合図の明かりが灯るのを待つ。明かりを消した部屋で、二人は息をひそめて長い夜を過ごすことになる。ホームズは何を待っているのか。そして「まだらの紐」の正体とは。