Scene 29 · Notes

解説 場面 29「残された問い」

この場面の解説

ホームズは当面の仮説にとどめ、事件にはなお多くの未解決の問いがあると話す。ブーンの過去から決め手は得られず、氏の行方も分からないままである。

表現・文法のポイント

for want of a better
もっとよいものがないために、という理由を表す。wantはここでは欲しがる動詞ではなく、不足や欠如を意味する名詞。a betterの後ろにはhypothesisが省略され、今の仮説を暫定的に採用すると述べている。
as far from a solution as ever
解決から相変わらず遠いままだという比較。ここまで説明を重ねても、列挙された問いにはまだ答えが出ていないことを示す。as everは、今までと同じ程度であることを強調している。

全文の対訳

"Well, we will take it as a working hypothesis for want of a better. Boone, as I have told you, was arrested and taken to the station, but it could not be shown that there had ever before been anything against him. He had for years been known as a professional beggar, but his life appeared to have been a very quiet and innocent one. There the matter stands at present, and the questions which have to be solved—what Neville St. Clair was doing in the opium den, what happened to him when there, where is he now, and what Hugh Boone had to do with his disappearance—are all as far from a solution as ever. I confess that I cannot recall any case within my experience which looked at the first glance so simple and yet which presented such difficulties."

「そう、もっとよいものがない以上、当面の仮説としておこう。言ったとおり、ブーンは逮捕されて署へ連れていかれたが、過去に問題を起こした証拠はなかった。何年も物乞いとして知られていたが、暮らしぶりはまったく平穏で、悪いところはないようだった。今はそういう状態だ。セントクレアがアヘン窟で何をしていたか、そこで何が起きたか、今どこにいるか、ブーンがその失踪にどう関わったか、どの問いも相変わらず解けていない。正直、経験した事件の中で、初めはこれほど単純に見えながら、これほど難しかったものは思い出せないよ」

難易度の高い単語 (☆ で覚えたい単語に入れる)

  • hypothesis(ハイポサスィス)… 仮説難
  • disappearance(ディサピアランス)… 消えること・姿を消すこと
  • professional(プロフェッショナル)… 職業上の・専門の・プロの
  • difficulties(ディフィカルティーズ)… 困難・悩みどころ(複数)
  • presented(プリゼンティッド)… 示された・持ち込まれた・発表した(present の過去形・過去分詞)
  • arrested(アレスティッド)… 逮捕された(arrest の過去分詞)
  • innocent(イノセント)… 罪のない・無害な・無邪気な
  • solution(ソリューション)… 解決・解答・溶液

次は第 3 章「杉の木の家」

ホームズの説明が終わる頃、馬車はロンドンの市街を離れ、リーの近くへ進んでいる。セントクレア氏の行方は、まだ分からないままだ。これから向かうのは、ホームズが捜査のために滞在している氏の家である。知らせを待つ夫人に会い、さらに事情を確かめることになる。