第 1 章(I)雪の来客The Adventure of the Beryl Coronet

前日の雪が深く残る二月の朝。舞台はベイカー街221B、そこで暮らすホームズとワトソンの居間である。冬の陽光がロンドンの通りを照らすなか、二人はまだ次の相談客も、その人物が持ち込む事情も知らない。第一章は、いつもの朝の静けさから始まる。

解説の目次

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  1. 01雪の通り A Figure in the Snow二月のある朝、ワトソンとホームズはベイカー街221Bで過ごしている。前日の雪が残る通りは冬の日差しに照らされ、張り出し窓から見える景色もいつもより静かである。ワトソンは窓辺に立ち、朝の街を眺める。穏やかな朝の始まりである。解説を読む ›
  2. 02走る紳士 The Running Gentleman雪のベイカー街を進む一人の男が、ワトソンの目を引いている。通りにほかの人影はなく、ホームズも椅子から立って友人の肩越しにその姿を見る。二人はまだ、男の身元も目的も知らない。二人の注意はその一人へ集まる。解説を読む ›
  3. 03戸口の騒ぎ At the Door立派な身なりと激しい振る舞いが食い違う男は、ベイカー街の家々の番号を確かめながら近づいてくる。ホームズは職業上の相談ではないかと見ている。二人は張り出し窓から、男の次の動きを見守る。室内には朝の静けさが残っている。解説を読む ›
  4. 04深い苦悩 A Man in Distress雪道を急いできた客は、221Bの居間へ通され、息を切らしたまま肘掛け椅子に座っている。ホームズはその手をなだめ、話せるまで回復を待つ。ワトソンも、客が抱える深い苦悩の理由を知らない。相談の内容はまだ語られていない。解説を読む ›
  5. 05銀行家の告白 The Banker's Name取り乱した客は、自分だけでなく高貴な人々まで危うくなる事件だと訴えている。ホームズは事情を順序立てて聞くため、まず身元と身に起きたことを明らかにするよう促す。客の長い話は、ここから始まる。部屋の空気が静まる。解説を読む ›
  6. 06貸付の客 A Client at the Bank客はロンドンの著名な銀行家アレグザンダー・ホールダーと名乗り、警察の勧めでホームズを訪ねたと話した。少し落ち着きを取り戻した彼は、前日の銀行で起きた出来事から説明しようとする。ホームズとワトソンは耳を傾ける。解説を読む ›
  7. 07五万ポンド Fifty Thousand Poundsホールダーの銀行の個室へ、英国でも特に高貴な人物が名刺を先に届けて入ってきた。銀行家が挨拶しようとすると、客は急いで用件に入りたい様子を見せる。閉じた扉の内側で、特別な取引が始まろうとしている。机を挟んで二人が向き合う。解説を読む ›
  8. 08黒い革箱 The Black Case高貴な客は、次の月曜日までの短い間に五万ポンドが必要だと申し出た。ホールダーは、私財ではなく銀行の金を貸す以上、どれほど高名な相手にも十分な担保が必要だと考えている。客のそばには黒い革箱が置かれている。解説を読む ›
  9. 09預けられた宝 The Precious Security銀行の個室で、高貴な客は五万ポンドの担保として黒いモロッコ革の箱を差し出した。その中の品は国の重要な所有物で、客は価値に見合う担保だと保証している。ホールダーは箱を手に、相手と品を見比べる。判断はまだ下されていない。解説を読む ›
  10. 10王室の担保 The Royal Security黒い革箱の品に十分な価値があることを、ホールダーは認めた。ただし、それほど貴重な品を銀行が預かる責任には戸惑いが残る。客はその懸念を承知したうえで、自分が彼を信頼する理由と預ける条件を話そうとする。部屋には緊張が漂う。解説を読む ›
  11. 11持ち帰る決断 Taking It Homeホールダーは取引を終え、預かった緑柱石の宝冠を銀行の私用金庫へ納めた。それでも、万一の紛失が招く結果の重さが心から離れない。日が暮れ、銀行を出る時刻が近づくと、彼は夜の保管場所を改めて考える。銀行の一日は終わりに近い。解説を読む ›
  12. 12家族の事情 The Banker's Son銀行に残すことを危ぶんだホールダーは、宝冠を自宅へ持ち帰った。ホームズに家の状況を伝えるため、彼はまず馬丁や女中など六人の使用人を説明した。次に語るのは、同じ屋根の下で暮らすごく少数の家族である。事件の背景が家庭へ移る。解説を読む ›
  13. 13息子の浪費 Arthur's Debtsホールダーは妻を亡くし、一人息子のアーサーと暮らしている。息子に銀行を継がせたいと願ってきたが、彼は仕事に向く性格ではなく、父にとって長年の心配の種である。銀行家は、父子の間に積み重なった金銭と交友の問題を語り始める。解説を読む ›
  14. 14社交界の友人 A Society Friendアーサーは社交界の贅沢な暮らしに惹かれ、父は度重なる借金を肩代わりしてきた。彼は危うい仲間から離れようとしても、親しいジョージ・バーンウェル卿の影響で戻ってしまう。ホールダーは、息子を惹きつけるその友人について話す。解説を読む ›
  15. 15姪のメアリー Mary Holder息子の友人バーンウェル卿を、ホールダーは自宅で何度も迎え、その話術と物腰に人を惹きつける力があると感じている。家の者の説明で残るのは、彼が「小さなメアリー」と呼ぶ若い女性だけである。ホールダーは家族の説明を続ける。解説を読む ›